目次
経理が転職しやすい5つの理由とは?
そもそも、なぜ経理は「転職しやすい」と言われているのでしょうか。その理由としては、主に次の5つが挙げられます。
- 求人案件数が多く条件に合った企業を見つけやすい
- スキルの汎用性が高い
- スキルレベルがわかりやすくアピールしやすい
- 保有資格が重宝されやすい
- 数字に強い人材はさまざまな職種で需要が高い
それぞれ詳しく見ていきましょう。
求人案件数が多く条件に合った企業を見つけやすい
経理はどの会社でも必要とする職種であるため、求人案件数は常に多い状態です。ヒューレックスが保有する経理の求人数は、2022年2月時点で「749件」です。一方、一般事務の求人案件数は「290件」であり、その差は歴然です。
また、求人数が多い分、条件に合った企業を見つけやすい点も、経理の転職のしやすさに繋がっているでしょう。年収や勤務時間・年間休日数はもちろん、自分が保有するスキルと合致しているかどうかなど、さまざまな条件を想定した求人探しが可能です。
スキルの汎用性が高い
通常、転職後は、その職場に必要なスキルを新たに身に着ける必要があります。しかし、経理であれば、業界が変わっても、必要なスキルに大きな差はありません。
帳簿の記入や決算処理、会計資料の作成などは、業界問わず一定のスキルがあれば対応可能です。もちろん、業界ごとにある独自の考え方やルールは学ぶ必要はありますが、ゼロからすべて学ぶより、はるかに転職後の負担が軽くなります。
このように、スキルの汎用性が高い点も、経理が転職しやすい理由の1つです。
スキルレベルがわかりやすくアピールしやすい
経理の仕事は内容によって、ある程度スキルレベルが把握できます。例えば、伝票の処理よりは月次決算、月次決算よりは年次決算の方が、高いスキルレベルが必要です。さらに上級のスキルレベルとなると、税務申告書の作成や、連結決算などができるようになるでしょう。
つまり、転職先を探す経理は「募集求人の仕事内容」、経理を探す企業側は「求職者が経験してきた仕事内容」から、スキルレベルの基準をすり合わせられます。そうすることで、書類選考や採用後のミスマッチを互いに減らせるのです。
経理としても、自分のスキルレベルに合う企業に絞って求人探しができ、面接時も自身の強みについてアピールしやすいというメリットがあります。
保有資格が重宝されやすい
一般事務などの他職種の場合、保有資格はさほど重要視されません。経理も資格なしで就業可能ですが、簿記や会計士、税理士などの資格を保有していると、重宝されやすい傾向にあります。
これは、保有資格に関連した知識がある点はもちろん、資格取得に向けて勉学に励んだ「向上心」や「真面目さ」が評価されやすいからです。
特に、資格を保有しながら実務経験もある経理は、企業側としても安心して採用できるでしょう。このように、資格を保有していることも、経理が転職しやすい理由の1つと挙げられます。
数字に強い経理はさまざまな職種で需要が高い
会社の売上を上げるだけでなく、余分なコストを削減するためにも、会計の計算や分析は大切です。その点、経理は数字に強く、業績改善に向けた現実的な提案もできます。
数字に強い経理はどの職種でも需要が高く、特に20代・30代であれば、幹部候補として採用されるケースも多々あります。また、年齢を重ねても、必要なスキルに大きな変化はありません。
年齢問わず、数字に強いところを武器にできる点も、経理が転職しやすい理由の1つと言えるでしょう。
経理は異業種にも転職しやすい!おすすめの業種を紹介
経理は、どんな業種でも転職しやすいですが、特におすすめなのが次の4つです。
- 営業職
- 経営、管理部門
- 会計コンサルティングファーム
- 一般事務
それぞれの仕事内容やおすすめポイントを見ていきましょう。
数値管理能力を活かして「営業職」へ転職
経理最大の武器とも言える数値管理能力は、営業職でも十分活かせます。特に、予算の提案などのプレゼンテーションは、経理ならではの経験と知識を活かすチャンスです。
また、他部門に対し、経費削減などの提案をしていた方も多いでしょう。このような交渉術は、購買や登録など目的の行動を促す営業職で、非常に役立ちます。
予算管理の経験を活かして「経営・管理部門」へ転職
一定の実務経験がある経理は、経営や管理部門への転職もおすすめです。特に、5年以上の実務経験があると、予算管理など経理としての能力が十分あると判断されやすく、転職が有利となります。
また、20代や30代など、経験年数が少ない年代でも、将来の幹部候補として育てていくために採用するケースも少なくありません。管理職ともなれば、おのずと月給アップも期待できるため、高年収を狙う方は特におすすめです。
会計知識を活かして「会計コンサルティングファーム」へ転職
経理が持つ会計知識は、会計コンサルティングファームへの転職でも役立ちます。会計コンサルティングファームの仕事は、会計に関するあらゆる業務へのアドバイスです。
例えば、M&Aサポートや、会計における課題の解決に対するアドバイスを行います。時には、会計基準の改定への対応や、影響の調査も仕事として請け負うでしょう。
コンサルという仕事柄、相応のコミュニケーション能力が必要なため、「経理の仕事と同じくらい、人と関わるのが好き」という方におすすめな転職先です。また、経営・管理部門と同様に、経理よりも年収アップが期待できる点も大きな魅力となっています。
今までの経験がそのまま活かせる「一般事務」へ転職
スキルやキャリアアップよりも、ワークライフバランスを大切にしたい経理は、一般事務への転職がおすすめです。経理時代に培った会計知識はもちろん、会計資料などの作成時に鍛えられた文書作成能力や、さまざまなPCスキルをそのまま活かせるからです。
また、中小企業で働いていた経理は、一般事務を兼ねるケースが多々あります。すると、一般事務になってもスムーズに活躍でき、転職後の精神的負担を大幅に減らせるでしょう。
経理の転職をさらに有利にする3つの資格
経理が転職しやすい理由の1つに、「保有資格が重宝されやすい」ことが挙げられます。特に、次の3つの資格は、経理の転職をさらに有利にしてくれます。
- 日商簿記検定
- MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)
- FASS検定(経理・財務スキル検定)
それぞれの資格内容や難易度を見ていきましょう。
日商簿記検定
経理の保有資格の中で、最もスタンダードなのが「日商簿記検定」です。日本商工会議所などが実施主体となり、商業・工業簿記をはじめとした会計知識をはかる検定となっています。一部の上級試験を除き、受験資格に制限はありません。
階級は1~3級と初級(旧4級)の4段階あり、1級に合格すれば「会計学のスペシャリスト」としての証明にもなります。このうち、経理の保有資格として評価されるのは「2級以上」です。まだ持っていない方は、最低限2級を保有しておくと、転職にも有利に働きます。
なお、2021年11月に行われた階級別の合格率は、次の通りです。
- 1級:10.2%
- 2級:30.6%
- 3級:27.1%
- 初級:63.1%
※初級のみ、2020年4月1日~2021年3月31日のデータ
この結果をみると、2級の合格率は「受験者3人に1人」の割合に近いことがわかります。経理としての実務経験から、自然と身に着けている知識も少なくないため、努力次第ではさほど合格は難しくないでしょう。
MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)
MOSは名前のとおり、マイクロソフトオフィスの各ツールのスキルを証明する資格です。「PCを使える人」はたくさんいますが、MOSを取得することで、明確にスキルをアピールできるメリットがあります。
日商簿記検定のような階級はないものの、ツールやバージョンごとに資格が分けられています。また、使用頻度が高いワード・エクセルは、一般と上級の2段階資格です。
残念ながら、合格率は公表されていません。しかし、経理としてPC操作に慣れている場合、合格はそれほど難しくないといわれています。
FASS検定
FASS検定は、簿記だけでなく、経理・財務の総合的なスキルをはかる検定です。経済産業省の経理・財務人材育成事業の一環として、2005年からスタートした比較的新しい検定となっています。
FASS検定は合否ではなく、A~Eの5段階でスキルを評価するものです。それぞれの段階における評価内容は、次のようになっています。
レベル | 評価点 | 評価内容 |
---|---|---|
A | 689点~ | 経理・財務に関する理解・スキルが十分で、自信をもって業務を遂行できる |
B | 641~688点 | 時には知識の正確さに個人差が出るものの、業務を適切に遂行できる |
C | 561~640点 | 経験外の業務に対する対応力はやや劣るものの、日常的に扱う経理・財務に関する理解・スキルはあり、業務を遂行できる |
D | 441~560点 | 経理・財務に関する理解・スキルが不十分な部分が多いが、支援を受けることで業務を遂行できる |
E | ~440点 | 経理・財務に関する理解が部分的で、スキルも不十分である |
経理の転職でアピールするなら、評価レベルが高ければ高いほど、有利に働くでしょう。日商簿記検定を持っている経理は多くても、FASS検定を持っている経理は、まだ少ない状況です。
ライバルとの間に差をつけて転職を有利にする上で、FASS検定は非常におすすめな資格となっています。
経理の転職を成功させるポイント
転職しやすいといわれる経理ですが、転職活動の苦労を考えると「なるべく今回の職場で最後にしたい」と思う方も多いでしょう。
そこで、経理の転職を成功させるポイントを3つ紹介します。
- 今の職種・業界から大きく外れない
- 企業規模が同じくらいの求人に応募する
- 転職エージェントを利用する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
今の職種・業界から大きく外れない
経理は異なる業界や職種でも、十分活躍できると紹介しました。しかし、確実に転職を成功させたい場合は、今の職種や業界から大きく外れないようにすることをおすすめします。
同じような職種や業界からの転職であれば、即戦力として採用されやすくなるからです。
企業規模が同じくらいの求人に応募する
経理は、企業規模によって業務範囲が異なるケースが少なくありません。大企業は、複数人の経理で分業するケースが多く、どちらかというと特定の分野における「スペシャリスト」を求める傾向にあります。
一方、中小企業の経理は、経理全般はもちろん、一般事務を兼ねるケースが多いでしょう。大企業にくらべ、総合力のある「ジェネラリスト」が重宝される傾向にあります。
このように求める人材が異なることを踏まえ、転職時にはなるべく同じ企業規模の求人に応募することがおすすめです。
転職エージェントを利用する
経理の求人案件数は豊富な分、自分の希望にマッチした企業を探すのには、大きな労力が必要です。条件に合った転職先を見つけられず、泣く泣く今の職場で妥協する、という方もいるでしょう。
そんなときには、転職エージェントの利用がおすすめです。専属エージェントが希望に合った求人探しはもちろん、求人情報からだけでは知ることができない社風や、実際の残業時間などの情報を提供してくれます。
転職活動の手間や、転職後のミスマッチをできるだけ減らしたい方は、ぜひ転職エージェントを利用してみてはいかがでしょうか。
経理は転職しやすく色々な業界から重宝される
経理は会社に不可欠な存在なため、異なる業界であっても転職しやすい職種です。実務経験や資格があれば、より転職が有利になるでしょう。
転職エージェント「ヒューレックス」では、経理の求人案件数も豊富で、さまざまな希望に合わせた転職先の提案も可能です。U・Iターンに強い求人情報や未公開求人も幅広く取り扱っているため、年齢や経験問わずご利用いただけます。
転職についてお困りの方は、ぜひヒューレックスへ一度ご相談ください。
この記事の監修
神谷 貴宏
愛知県出身。大手証券会社、半導体商社の営業を経て、総合人材サービス会社へ入社。 仙台支店での勤務後、大型派遣案件の企画から運用に従事。その後、会社の中核を担う“正社員”のサポートに携わりたいという思いが強くなり、ヒューレックスの設立に参画する。 17年余りにわたるコンサルタントの経験の中で3,000名を超える方々をサポート。個々人の”キャリア”だけでなく”価値観”を大切にしている。
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