目次
転職活動の期間の平均は1~3カ月
まず、「転職が決まらない」と焦る前に、他の転職者が「必要だと考える転職にかかる期間」と「実際の平均月数」について紹介します。エン・ジャパンが2018年9月26日~10月28日に実施した調査によると、転職活動(情報収集~内定)に必要と考える想定期間は1~3カ月が全体の約56%が、次点で4~6カ月の28%、1カ月以内と6カ月以上が等しく8%となっています。それに対する実際に転職活動にかかった期間は以下のようになりました。
■転職期間 想定と実際の比較
期間 | 全体 | |
---|---|---|
1ヶ月以内 | 想定 | 8% |
実際 | 21% | |
1~3ヶ月以内 | 想定 | 56% |
実際 | 49% | |
4~6ヶ月以内 | 想定 | 28% |
実際 | 19% | |
6ヶ月以上 | 想定 | 8% |
実際 | 10% |
※参考:エン・ジャパン「転職活動について」
この結果、実際の期間で見ると、想定よりも1カ月以内と6カ月以上の割合が増えていることが、明らかになりました。また、20代よりも40代以上の方が6カ月以上の割合が倍以上多いことから、年齢を重ねるごとに転職活動の期間が長くなる傾向が読み取れます。
転職活動の期間が1カ月を過ぎ、3カ月近くなると不安を感じる方も増えますが、実際は約3割が4カ月以上かかっているので安心してください。
また、年代別の応募者数は20代で平均6社、30代は9社、40代だと12社であり、約85%の回答者が在職中に転職活動を行っています。現職との兼ね合いで面接日まで間隔空いてしまうことも珍しくないので、転職期間が想定より長引いても必要以上に焦る必要はありません。
さらに全体の1割が半年以上の活動の末、転職を実現できているので、すぐに転職先が決まらなくてもコツコツと継続することが、転職を成功させる最も大切なポイントと言えるでしょう。
転職が決まらない理由1:転職の準備不足
転職が決まらない理由について、転職活動の流れに沿って紹介します。まず振り返って欲しいのは、企業に応募する前の準備です。転職するための諸々の準備が不足していると、以降の活動をスムーズに進めなられなくなってしまうので以下の3つについては、十分に押さえておきましょう。
転職の意思が弱い
転職者のほとんどが在職中に転職活動を行っています。現職の仕事や家庭など、これまでの生活に加えて情報収集や履歴書、職務経歴書、ポートフォリオなどの資料作成、面接準備といった活動をしなくてはなりません。人によってはとても大きな負担を感じることもあります。その結果、やらなければならないことが後伸ばしになるなど、転職活動自体が遅れてしまうケースがあります。
休日や仕事終わりの時間も転職活動に割かなければならないケースもあるので、しっかりと「転職する理由」と「意思」を固めておく必要があるでしょう。自己管理が苦手な人は、転職先で働きだす時期や内定を獲得する時期をあらかじめ区切って転職のスケジュールをなるべく具体的に立てることをおすすめします。
■転職活動の全体の流れ 1.応募書類の作成 2.求人応募 3.面接対策 4.面接を受ける 5.内定 6.退職して、転職先に入社 |
自己分析不足
自己分析は履歴書の作成はもちろん、応募したい業界、職種などの選定にもつながる転職活動の基本です。自己分析が曖昧だと応募先を調べるだけでも一苦労ですし、各企業の応募書類を作成する度に自分を振り返らないといけないため、時間と労力が増大してしまいます。また、後述する面接などでも自己分析が不十分だと根拠のない回答をしてしまったり、言葉に詰まってしまい面接官からマイナスイメージを抱かれてしまう原因にもなり得ます。
以下で自己分析の代表的なチェック項目を挙げるので、スムーズに回答できるか試してみてください。
■自己分析シート(例) 1.自分のキャリアを棚卸する ・これまで経験した職種、業務は? ・仕事のなかで最もやりがいを感じた瞬間は? ・次の仕事でも活かしたいスキルや技能、分野は? ・仕事で関わってきた社外(顧客など)、社内の人の属性は? ・これまで持っても成長したと感じた経験、学びは?2.仕事以外の自分の特徴、趣味、やりたいこと ・知識、人脈、特技、人間性などのキーワードで自分を表現するとしたら? |
1、2の経験を棚卸したら、それぞれの内容に具体的なエピソードを加えて文章化しましょう。そうすることで自身が目指すべきキャリア、希望する企業の特徴が明確になるうえ、自己PRに欠かせない「自分だけの強み」を見つけやすくなります。
上記のポイントを一度、文章にできれば各企業に応募する際に志望動機などの応募書類の作成もスムーズになるでしょう。
転職が決まらない理由2:求人への応募不足とミスマッチ
応募はしているものの、なかなか転職活動が前進しない状態の人は自己分析不足や誤った企業に応募している可能性があります。十分に自己分析している人は、これまでの応募履歴を振り返って転職条件と応募数、応募先の企業の属性などを改めてチェックしましょう。
そもそも応募数が少ない
転職は複数応募が基本です。前述したエン・ジャパンの調査では、平均9社応募という結果でしたが、dodaによる平均応募社数の調査では、転職活動を始めて内定までに応募した企業数で見ると転職成功者の32.9%が21社以上、平均応募社数は22.2社という結果が明らかになっています。
どうしても転職したい企業だけを応募し、全て選考に落ちてから新しい候補を探すのは転職期間の長期化の大きな要因になるうえ、気落ちして転職へのモチベーションが低下してしまいます。また、比較検討できる企業が少なくなるというデメリットも。
転職が決まらない場合、これまで以上に様々な転職サイトなどをチェックして応募数を増やすことを検討してみましょう。
■転職方法一覧 ・転職エージェント ・転職サイト ・ハローワーク |
転職先の条件が固まっていない
転職先の各条件が固まっていないことも、応募したい企業が見つからずに転職が長期化してしまう1つの要因です。前述した自己分析で自身のキャリアプランが明確にできたら、それを実現するために必要な転職先の条件も比較的簡単にまとめられるでしょう。
■転職の条件一覧(例) 1.仕事内容 ・経験、資格、言語を活かす ・スキルを学べる ・職種、業種 2.収入 ・年収、月収 ・賞与 ・各種手当 ・インセンティブ制度の有無 3.働き方や職場の環境 ・勤務地 ・転勤の有無 ・雇用形態 ・副業可 ・テレワーク、フレックス勤務 4.休日と勤務時間、福利厚生 ・完全週休2日制 ・残業時間 ・長期休暇制度 ・退職金制度の有無 ・社宅や家賃補助 ・育児、介護休暇制度 5.キャリアと組織 ・評価制度 ・研修、教育制度 ・人事制度 ・管理職の男女比率 ・社風 |
自己分析をもとに、これらの条件について優先順位を設けることで自身の転職条件を明らかにでき、さらに応募先する企業の「軸」も定められます。この軸は応募先の選定だけでなく、面接で質問されることが多い「当社を選んだ理由は?」、「なぜ転職しようと思ったのですか?」という回答にも役立ちます。一度、上記のリストの各項目についてじっくりと考え、年収などはなるべく具体的に数字を入れてみましょう。
転職が決まらない理由3:書類選考、面接の通過率と回数が少ない
書類選考と面接の通過率が悪く、なかなか内定を獲得できないのは多くの転職者が抱える悩みです。自己分析や転職の希望条件の明確化がしっかりできているのであれ ば、各書類の書き方や面接といったテクニックが不足していたり、対策が不十分であるケースが考えられます。そのなかでも特にありがちなポイントをまとめました。
履歴書、職務経歴書の書き方が間違っている
履歴書、職務経歴書は「応募先が求めている情報を端的にまとめる」ことが大前提です。よくある失敗事例としては、応募時に記入する企業からの質問内容と異なる回答をしてしまうほか、職務経歴書などにびっしりと応募先の企業や職場とは関係のないスキルや経験について記載してしまうことが挙げられます。
また、異業種・異職種への転職する際は業界用語や専門用語を多用することも、書類を読む人のことを考えていないとしてマイナスな評価を受けてしまう可能性があるので要注意です。履歴書や職務経歴書を作成する際は、以下のポイントをなるべく過不足がないように心掛けましょう。
■履歴書・職務経歴書の書き方の基本 ・複数応募を効率化するため、パソコンでの作成が推奨 ・手書きの際はボールペンで記入する。文字を消せるボールペンはNG。また、期限に余裕を持って、丁寧な文字を意識して作成する。 ・(株)などの略語はNG ・使い回す際は、宛名やPRする理由が応募先に向けた内容になっているか必ずチェックする ・郵送する場合、写真はデータではなく印刷したものを貼付する ・印刷時に体裁が乱れていないか確認する ・職務経歴書は「タイトル・氏名・日付」、「職務要約・職務概要」、「現職の職務」、「職務経歴と内容」、「活かせる知識・スキル」、「所持資格」、「自己PR」、「退職理由や転職理由」について端的にまとめる ・原則、職務経歴書には仕事とは関係のない趣味、ボランティア活動、特技などは記載しないこと |
志望動機、自己PRが弱い
応募時に多くの企業から求められるのが、「志望理由」と「自己PR」です。書類選考と面接のどちらでも尋ねられることが多いので、しっかりと固めておく必要があります。これまで解説した転職理由の明確化と自己分析の徹底、さらに企業選びの軸が確立していれば魅力的な志望動機と自己PRをつくる材料は揃っているはずです。志望動機は、結論・ 根拠・ 必然性を意識して文章を構成しましょう。自己PRは「何をやってきたか」、「何ができるか」、「転職先でどうしたいか」を端的にまとめることで、分かりやすく、説明しやすい文章になります。
■志望動機、自己PRの注意点 ・応募先企業ならではの要素が薄くなっていないか ・仕事内容について触れているか(具体性があるか) ・待遇、条件のみになっていないか ・志望動機と自己PRに一貫性があるか ・自慢にとらえられる表現がないか |
現職とのスケジュール調整ができていない
面接の数をこなしつつ、転職を成功させるにはスケジューリングが大切です。面接を後伸ばしにするのは、転職期間の長期化の原因になりますし、だからといって最短日程を入れすぎると後述する準備不足につながるほか、突発的な残業などで直前にリスケジュールしなくてはならなくなる可能性も高まります。以下の5つのポイントを重視して、スケジュール調整を行いましょう。
■スケジュール調整のポイント 1.繁忙期は避け、比較的時間を取りやすい月などにまとめて入れる 2.第一志望の面接よりも先に他の企業の面接を受ける 3.連日の面接はOK。ただし、慣れるまでは1日2社以上の面接は受けない 4.面接候補日は3つ以上提示する 5.面接日程のメールには即レスを心掛ける |
面接対策が不十分
コミュニケーションに長けた人でも、限られた時間内で面接官にマイナスイメージを与えず、かつ自身をアピールすることは簡単ではありません。また、面接官は複数人の応募者を面接して比較するため、準備不足は簡単に見抜かれてしまいます。
面接対策は「モノ」「マナー」「回答」の3つに大きく分類され、それぞれを前日までに十分に行っておく必要があります。
■モノの準備 1.履歴書、職務経歴書のコピー(複数枚) 2.印鑑 3.身分証明書 4.求人票のコピー 5.筆記用具とノート 6.携帯電話 7.担当者の名前と連絡先控え 8.適切な服装 |
■マナーの把握 1.5~10分前に会場に到着、受付する 2.面接前の控室ではスマートフォンを操作しない 3.ドアは3回ノックし、「お入りください」と促されてから「失礼いたします」と返して入室する 3.ドアを閉める際はドアの方に向き直ってから閉める 4.椅子の横に立ってお礼と名前を名乗ってから一礼し、「どうぞお座りください」と促されてから座る。 5.表情、話すスピード、笑顔を意識し、会話のキャッチボールを意識しながら回答する 6.退室時はドアの前で失礼しますと一礼する |
■準備しておくべき質問に対する回答 ・自己紹介をお願いします ・前職の退職理由と応募企業の志望理由は? ・長所、短所を教えてください ・キャリアプランはありますか? ・現在の年収と希望年収は? ・他に受けている企業はありますか? ・志望企業を選ぶ基準はなんですか? ・当社の知名度は高くないですが、なぜ応募したのですか?(中小・ベンチャー企業の場合) ・新卒時のエピソードはありますか?(20代前半の場合) ・どのようなマネジメント経験がありますか?(30代以降の場合) ・転職回数が多い理由を教えてください(4社目以降の場合) |
その他の面接でよくある質問を知りたい方はこちらをご覧ください。
「中小企業の面接でよくある質問&模範回答12選!転職のプロが徹底解説」
転職を早期に決めるなら転職エージェントがおすすめ
ここまで転職が決まらない理由と対策について解説しました。見直すポイントが多く、また自分一人では正しく対策できているのか分からないと不安を抱えている人も多いかもしれません。
そこでおすすめなのが転職エージェントの利用です。例えば、地方転職に特化した転職エージェントサービスであるヒューレックスでは、スキルやキャリアの棚卸から企業選び、面接対策、スケジュール調整まで全て支援。今回、紹介した見直すべきポイント・改善点が一人で悩むよりも早く見つかるので、転職も早期に成功させることができます。
転職の状況、時期を問わず支援を行わせていただいているので、転職がなかなか決まらない方はぜひヒューレックスにお気軽にご相談ください。プロの専任コンサルタントが、転職が決まらない理由 と解決策を導き、転職活動をサポートします。
この記事の監修
神谷 貴宏
愛知県出身。大手証券会社、半導体商社の営業を経て、総合人材サービス会社へ入社。 仙台支店での勤務後、大型派遣案件の企画から運用に従事。その後、会社の中核を担う“正社員”のサポートに携わりたいという思いが強くなり、ヒューレックスの設立に参画する。 17年余りにわたるコンサルタントの経験の中で3,000名を超える方々をサポート。個々人の”キャリア”だけでなく”価値観”を大切にしている。
コンサルタント詳細を見る