目次
会社選びの軸から転職先を考える
転職する会社を選ぶときは会社選びの軸から考えるようにしましょう。会社選びの軸とは、転職の決め手になる「ゆずれない軸」のことです。
会社選びの軸は、転職活動の面接で「会社を選ぶ基準は何ですか」と聞かれることもあります。
転職したい理由をピックアップ
まずは、転職したい理由について考えます。現職への不満を洗い出すことで、会社選びの軸が把握しやすくなるからです。「年収が低い」「仕事内容が不満」「休日が取得しにくい」など、収入や業務内容、福利厚生などにも目を向けます。これにより、会社選びをする上で優先度の高い条件が明確になります。
仕事で嬉しかったことを振り返る
次に、仕事でどんなことが嬉しかったのかを振り返りましょう。仕事で大切にしたい部分が、掴みやすくなります。
たとえば「顧客から認められたことが嬉しかった」なら接客にやりがいを感じやすい可能性があります。あるいは「同僚と良好な関係になれたことが嬉しかった」ならチームワークの良さが仕事の楽しさにつながることも考えられます。これにより、自分に合った職場選びがしやすくなります。
自分の市場価値をチェック
最後に、自分の市場価値を確認しましょう。市場価値を把握していないとミスマッチにつながる可能性があるためです。
「年収500万円の現職を辞めて収入を上げたい」と考えていても、自分の市場価値を考えた場合、年収500万円が標準的な年収の可能性もあります。自分の今の実力で、どのような仕事に就けそうか事前調査しましょう。
1人だけで調査しても、自分の価値を見誤ってしまったり、正確な転職市場の情報を収集しきれなかったりする可能性があります。市場価値を調べるときは、希望勤務地や希望職種に特化した転職エージェントに相談することがおすすめです。
転職の会社選びで必ず確認すべき7項目
会社を選ぶときに確認すべき7項目を紹介します。すべての条件を満たした転職先は少ないため絞りすぎないよう優先順位を明確にしましょう。
1.事業内容 | ・顧客 ・商材 ・販売方法 ・ 企業理念 ・全国や海外拠点の有無 ・新規事業の計画 ・社会貢献できるか |
---|---|
2.企業規模 | ・年間売上高 ・利益 ・従業員数 ・正規雇用と非正規雇用の比率 ・スタートアップか設立10年以上か |
3.業務内容 | ・職種 ・担当業務の詳細な内容 ・個人プレーかチームプレーか |
4.社風 | ・社員の雰囲気 ・評価基準は実力主義か年功序列か ・アットホームか体育会系か ・離職率 |
5.福利厚生 | ・給料 ・10年後の想定年収 ・残業代支払いの有無 ・勤務時間 ・有給取得率 ・育児・介護休暇制度の取得率 ・テレワークの可否 ・副業の可否 ・ワークライフバランスが整いそうか |
6.人材募集の背景 | ・欠員補充か業務拡大か ・求める人材像 |
7.業界内での位置づけ | ・シェア ・競合他社にない強み ・商材の特徴 ・顧客から選ばれる理由 |
事業内容
まず事業内容を確認しましょう。具体的にはこれらの項目です。
- 顧客
- 商材
- 販売方法
- 企業理念
- 全国や海外拠点の有無
- 新規事業の計画
- 社会貢献できるかなどを確認
顧客は個人なのか法人なのかによって仕事内容が変わってきます。法人顧客の場合は、決裁権をもっているのは担当者の上司や経営者のため、契約受注までに時間がかかる傾向にあります。
全国展開している企業は、企業によっては転勤の可能性も視野に入れなくてはいけません。
また、新規事業の計画を確認することで、その会社がどんな方向に向かっていこうとしているのかが把握しやすくなります。
企業規模
企業規模は収入や働き方に影響しやすい部分です。こちらの項目をチェックすることで規模が把握しやすくなります。
- 年間売上高
- 利益
- 従業員数
- 正規雇用と非正規雇用の比率
- スタートアップか設立10年以上か
正規雇用が少ない企業の場合、役職に就きやすいという利点があります。ただ、正社員が少ない分、責任は重くなり、業務量も増えやすい傾向にあります。
スタートアップは仕事の裁量が与えられやすい反面、ゼネラリストのようにさまざまな業務をこなす能力も求められます。社会の変化にともない、将来はどのような規模の会社になりそうかを考えることも大切です。
業務内容
業務内容は「具体的な仕事内容」と「自分に合っているか」という2つの視点から確認しましょう。業務内容で確認したい項目、は求人要項に載っていたり転職エージェント担当者から教えてもらったりすることが可能です。
- 職種
- 担当業務の詳細な内容
- 個人プレーかチームプレーか
これらが自分に合っているかを確認します。会社選びで後悔しないためと、面接の自己アピールに説得力をもたせるためです。
社風
同じ業界でも会社によって社風は異なります。社風を把握するために調べたい項目はこちらです。
- 社員の雰囲気
- 評価基準は実力主義か年功序列か
- アットホームか体育会系か
- 離職率
社風は数値化しにくいですが、企業採用ホームページや口コミ、SNS、転職エージェント担当者などから確認できる場合があります。離職率を調べることで、社員が定着しやすい雰囲気の職場かどうかも推測可能です。離職率は会社四季報に記載されています。
福利厚生
福利厚生のなかでも重視したいポイントを紹介します。
- 給料
- 10年後の想定年収
- 残業代支払いの有無
- 勤務時間
- 有給取得率
- 育児・介護休暇制度の取得率
- テレワークの可否
- 副業の可否
- ワークライフバランスが整いそうか
有給や制度は「あるかどうか」でなく「取得率」を確認しましょう。制度を設けていても取得しにくい雰囲気の職場もあるからです。
福利厚生はワークライフバランスに大きな影響を与えます。転職の軸が「ワークライフバランスが整うこと」ならしっかり確認しましょう。
人材募集の背景
中途採用を募集している理由は「欠員補充」と「事業拡大」のどちらなのかを見極めましょう。人手不足の原因が社員の退職によるものからなのか、事業規模拡大によるものなのかによって、入社後の働きやすさが違うからです。
企業が必要としている人材像を調べるのも大切です。転職エージェント担当者に確認すると認識にズレが生じにくくなります。ミスマッチが防げるため、転職面接の志望動機などで自己PRがしやすくなります。
業界内での位置づけ
最後に、業界内での位置づけを把握するようにします。競合他社と比べたほうが、より自分に合った会社を選びやすくなるからです。
- シェア
- 競合他社にない強み
- 商材の特徴
- 顧客から選ばれる理由
競合他社にない強みや商材の特徴は、志望動機にもつなげられます。面接でも活かせられる情報なので丁寧に確認することをおすすめします。
未経験の仕事に転職したいときの会社の選び方
経験のない仕事に転職するときの会社選びについて解説します。未経験職に応募するときは有効求人倍率の高い業界の会社か事業規模拡大中の会社がおすすめです。
有効求人倍率が高い業界の会社
有効求人倍率が高い業界は慢性的な人手不足に陥っていることが多い傾向にあります。たとえば、飲食業や介護職などです。
未経験でも採用されやすいため「今までと違う仕事がしたい」方におすすめです。ただ、人気職と比べると、仕事の条件面などが良くない場合も多いです。たとえば、流通業界は長時間労働になりやすいため、労働条件が整っていないケースも見受けられます。
事業規模拡大中の会社
事業を拡大している企業は人手が足りません。IT系企業のエンジニア職などは人手不足で知られています。東京ハローワークの「職種別有効求人・求職状況(一般常用)」によるとIT技術関連の有効求人倍率は2.24です。
エンジニアに関しては今後もしばらくは需要がなくならないと考えられます。伸びしろのある人材なら未経験でも採用されやすいため、候補に入れるのもひとつの方法です。
非正規雇用も視野に入れる
未経験の場合、非正規雇用なら採用されやすくなります。やりたい仕事があるものの正社員で採用されにくい場合は、契約社員や派遣社員も視野に入れましょう。
非正規雇用は安定性という面で正規雇用より劣りますが、勤務時間が短かったり責任が重すぎなかったりするというメリットもあります。会社選びの軸を参考に、どの働き方が自分に合っているか考えることもおすすめです。
会社選びの失敗例
会社選びの失敗例をチェックして、自分の転職活動でも同じことを起こさないように気をつけましょう。会社選びを失敗してしまった方の例と、ヒューレックスの転職コンサルタントからのアドバイスを5つ紹介します。
転職時の年収だけで決める
【転職失敗経験者(30代/男性/営業)】
「転職するときは年収を最優先にして決めました。大手企業に転職できましたが、残業が多くノルマもきつくて大変です。ノルマが達成できず、不人気部署に異動させられ給料も下がってしまいました・・・。」
【転職コンサルタント】
「年収を上げたい方は、まず現職で昇給できないか確認しましょう。転職するときは募集要項にある年収だけで判断しないのも大切です。場合によっては降格されて下がる可能性がありますし、試用期間を経て上がることも考えられます。中途採用者の昇給例などを事前に確認することもひとつの方法です。」
職種や業界を絞りすぎる
【転職失敗経験者(20代/女性/テレフォンアポインター)】
「具体的にやりたい仕事があったため業界と職種を絞って転職活動をしていました。結果、どこからも採用されず無駄に時間を使いました。もっと視野を広げて会社を探したら良かったと後悔しています。」
【転職コンサルタント】
「やりたいことがあっても職種や業界を絞りすぎると、チャンスを狭めてしまいます。たとえば、営業がしたいという場合でも、メーカーやサービス業以外にも人材派遣業、広告業などさまざまな業界で営業職はできます。特定の業界だけでなく幅広く目を向けるようにしましょう。」
制度の実態を確認しない
【転職失敗経験者(20代/女性/企画)】
「育休制度が充実している会社を選んで転職しました。でも実際は育休をフルに取得する社員はほとんどいませんでした・・・。過去、育休をフルで取得した社員は『私たちに仕事の負担をかけるな』と悪口を言われていたようです。」
【転職コンサルタント】
「育休などの制度は充実していても取得率が低いケースもあります。実際に利用している社員がどれくらいいるか確認しましょう。女性の転職先の選び方は『子育てをしながら働き続けられる会社』という視点の方も多いです。転職の軸がワークライフバランスなら、制度が形骸化していないか確認することをおすすめします。」
面接で聞いていた労働条件と違う
【転職失敗経験者(30代/男性/事務)】
「事務職採用と聞いていたのに、入社後しばらくしてから営業もしてほしいと言われました。営業はできないと伝えても、最初から営業もしてもらうつもりだったといわれて揉めています・・・。」
【転職コンサルタント】
「面接で聞いていた労働条件と違う、というトラブルはときどき発生します。対策としては、内定後にもらえる労働条件通知書を事前にしっかり確認することです。リファラル採用など知人からの紹介で入社するときも、労働条件で認識が違うことはあります。転職エージェントなど転職のプロに間に入ってもらって転職するほうが、労働条件が正確にチェックできます。」
実力が発揮できない
【転職失敗経験者(20代/女性/営業)】
「前職は個人営業で、社内でも上位の売上金額を誇っていました。その実力を買われ、高年収の企業に転職しましたが、まったく売上を上げることができません。商材が替わり法人営業になったことも原因かもしれません。同僚からの視線がつらいです。」
【転職コンサルタント】
「ハイスキルの方でも実力を発揮できないことがあります。対策は、転職前にスキル不足の仕事でないか、ミスマッチを起こしていないかなどを確認することです。応募企業の業務内容や求められているスキルのレベルを調べるようにしましょう。」
会社選びに迷うときのおすすめの相談先
1人で会社選びをして転職活動を進めていくのは大変です。おすすめの相談先を3つ紹介します。
転職エージェント
転職エージェントを活用すると、自分に合った仕事が紹介してもらえます。転職エージェント担当者が応募企業に直接赴いて業務内容をヒアリングしているので、転職後のミスマッチも起こりにくくなります。「初めての転職で不安」という方におすすめです。
職場を退職した元同僚
職場を退職し他社に転職した元同僚に相談すると、転職経験者として有意義なアドバイスがもらえることもあります。「転職したほうがいいかどうか」ということも実体験からくる言葉のため説得力があります。ただ、人によっては転職を検討していることが現職の同僚に漏れてしまう可能性も0ではありません。
ハローワーク
ハローワークは、求人紹介から業務内容の簡単な説明まで受けられます。現職のパワハラなども相談可能です。担当者によっては親身な対応をしてくれます。ただ、なかには相性の合わない担当者に不快な印象を抱く方もいます。
転職の会社選びはポイントをおさえよう
転職活動するときの会社の選び方を紹介しました。転職先は会社選びの軸から考え、事業内容や業務内容、福利厚生などを確認しましょう。年収だけで決めたり、志望業界や職種をしぼりすぎたりすると、転職先の幅を狭めてしまいます。
ヒューレックスは豊富な求人から求職者の希望に添った会社を紹介いたします。転職コンサルタントがあなたの状況にあわせてアドバイスいたします。転職希望者の方にとってメリットがない場合は、安易に離職しないほうがいいこともお伝えさせていただきます。一緒に会社選びの軸を見つけていきましょう。
この記事の監修
神谷 貴宏
愛知県出身。大手証券会社、半導体商社の営業を経て、総合人材サービス会社へ入社。 仙台支店での勤務後、大型派遣案件の企画から運用に従事。その後、会社の中核を担う“正社員”のサポートに携わりたいという思いが強くなり、ヒューレックスの設立に参画する。 17年余りにわたるコンサルタントの経験の中で3,000名を超える方々をサポート。個々人の”キャリア”だけでなく”価値観”を大切にしている。
コンサルタント詳細を見る