目次
電気工事土はどんな仕事?
「電気工事士」とは、建物の電気設備に関する工事を行う専門の業者です。電気工事士の仕事内容は、大きく次の2つに分けられます。
- 建設電気工事
- 鉄道電気工事
同じ「電気工事」という名前が付いていても、仕事をする場所や作業内容が異なります。それぞれの違いを把握しておきましょう。
建設電気工事の仕事内容
建設電気工事は、主に建物全般の電気工事を行います。公共施設から工場、一般住宅といった幅広い建物が対象です。建設電気工事の具体的な仕事内容は、次の通りです。
電気工事の主な仕事内容
- 電線の配線及び敷設
- 大型電子機器の制御回路の保守・メンテナンス
- 配電盤の設置
- コンセント・照明器具などの取り付け
- その他電気工事の付帯作業
電気工事は、建物に電気を通すために必要な工程の多くを担っています。仕事をする場所も多岐に渡るため、飽きることも少ないでしょう。設備業者や建築業者と協力し、建物を完成させるやりがいのある仕事です。
鉄道電気工事の仕事内容
鉄道電気工事は、電車を安全かつ正確に運行させるために必要な工事です。電車を走らせるには、電気の力が欠かせません。踏切や信号、駅内の照明にはすべて電気が使われています。これらを正確に動かすために、鉄道電気工事は次のような作業を行います。
鉄道電気工事の仕事内容
- 架線(電線)の設置・張り付け
- 変電所の建築やメンテナンス、保守・管理
- 信号機の設置・点検
- 駅の改札や照明などの設置・点検
このように、鉄道に特化した工事を行うのが鉄道電気工事です。電車を動かすための電力供給はもちろん、駅構内の設備設置工事やメンテナンス工事もすべて行います。同じ電気工事という職種でも、作業する場所や内容は異なるので、就職や転職を考えているのであれば、違いをしっかりと把握しておきましょう。
電気工事土の平均年収は577.3万円
厚生労働省が発表した「令和2年賃金構造基本統計調査」によると、電気工事士の平均年収は、577.3万円でした。年齢や勤続年数、企業の大きさなどによって金額に差はありますが、現場監督・責任者と呼ばれる「管理職」になると、収入は増えていきます。
また、電気工事士第一種、二種の資格を所有しているかによっても収入が変わるので、収入アップを目指したい人は、資格取得を検討するとよいでしょう。
年収のピークは40代
電気工事士の年収は年齢や勤続年数によって変わります。どんな仕事でも同じですが、勤続年数を経るごとに経験値が上がり、できる作業が増えて作業の質も上がります。仕事ができるようになれば収入も増えていくので、経験年数に応じたスキルを身につけられるようにしましょう。
電気工事士の年齢・勤続年数別の平均年収推移は、次の通りです。
年齢 | 勤続年数 | 平均年収 |
---|---|---|
〜19歳 | 0.7年 | 244.1万円 |
20〜24歳 | 3.3年 | 388.9万円 |
25〜29歳 | 6.7年 | 488.1万円 |
30〜34歳 | 9.3年 | 515.5万円 |
35〜39歳 | 12.2年 | 566.0万円 |
40〜44歳 | 17.3年 | 639.3万円 |
45〜49歳 | 21.9年 | 747.4万円 |
50〜54歳 | 22.0年 | 705.3万円 |
55〜59歳 | 24.3年 | 650.0万円 |
60〜64歳 | 23.7 | 465.7万円 |
電気工事士の年収ピークは、45〜49歳で747.4万円でした。この年代の月給平均額が49.4万円、賞与平均額は154.4万円です。40歳を過ぎたあたりから管理職にキャリアアップし、大きく年収が上がるため、管理職を目指して資格取得やスキルアップを意識しましょう。
企業規模別の平均年収
電気工事士の年収は、年齢や役職以外にも企業規模によって異なります。大手の電気設備会社やゼネコンなどの元請けは、基本的に受注した仕事を下請け会社に依頼します。下請けになればなるほど受注金額は安くなるため、必然的に大手企業の方が年収も上がりやすい傾向があるのです。
企業規模別の年収の違いを表にまとめたので、参考にしてみてください。
企業規模 | 平均年収 |
---|---|
1,000人以上 | 719.3万円 |
100〜999人 | 521.3万円 |
10〜99人 | 491.1万円 |
1,000人以上の大手企業と999人以下の中小企業の年収は100万円以上の差があります。ただし、大手企業のように年収が高いということは、責任の伴う仕事や大変な仕事も多くあるでしょう。
年収だけに囚われず、自分の目標や生活スタイルに合わせた企業を選ぶことが大切です。
電気工事士の年収は他の職種に比べて高水準!
建設業にはいろいろな種類があり、どの職種に就くか迷ってしまいますよね。できれば同じ建設業界の中でも年収が高い職種に就きたいものです。結論からいうと、電気工事士の年収は他の職種よりも比較的高い傾向があるため、年収の高さを求めるのであれば、電気工事士を目指すのがおすすめです。
職種ごとの平均年収には、次のような違いがあります。
職種 | 平均年収 |
---|---|
設備・管工事会社 | 460.7万円 |
電気工事会社 | 513.6万円 |
建設機械運転会社 | 452.2万円 |
その他建設会社 | 405.1万円 |
土木工事会社 | 390.6万円 |
大工工事会社 | 377.7万円 |
表を見てもわかる通り、電気工事の仕事は建設業界の中でも高い年収となっています。同じく年収の高い「設備・管工事」の仕事と電気工事は、より専門性の高い知識やスキルが必要になるので、他の職種よりも年収が高くなりやすいのです。
需要の高い電気工事士の資格一覧
電気工事士にはさまざまな資格があり、取得することで施工できる範囲が広がったり、年収が上がったりします。中には国家資格のものもあり、建設現場では非常に重宝されます。本記事では、電気工事士関連の資格の中でも特に需要の高い「電気工事第一種、第二種」について詳しく解説します。
「電気工事に関する知識を身につけて、もっと色々な作業にチャレンジしたい」「年収を上げたい」と考えている方は、積極的に資格取得にチャレンジしてみましょう!
電気工事士第一種・第二種ってどんな資格?
電気工事土とは、電気設備工事を行うために必要な国家資格です。「電気工事士第一種」「電気工事士第二種」という2種類に分かれており、以下のように扱える業務範囲が異なります。
電気工事士第一種 | 第二種の業務範囲と最大電力500キロワット未満の工場やビルなどの電気工事が可能 |
---|---|
電気工事士第二種 | 600ボルト以下で受電する一般住宅や店舗などの電気工事が可能 |
電気工事現場全体の管理ができるようになる「電気主任技術者」を受験するためのステップとして取得を目指す人も多くいます。
その他電気工事資格一覧
電気工事には電気工事士第一種、第二種以外にもたくさんの資格があります。電気工事に関連する資格を取得することで、年収アップやキャリアアップにつながるので、必要に応じで取得を検討してみましょう。
電気工事士の主な関連資格は、次の通りです。
資格名 | 内容 | 取得条件 |
---|---|---|
認定電気工事従事者 (国家資格) |
マンションやビルなどの大きな現場でコンセントや照明の設置など、簡単な施工が可能になる | 【電気工事士第一種取得者】 申請のみで取得可能 【電気工事士第一種未取得者】 技術講習の受講が必要 |
特種電気工事資格者 (国家資格) |
ネオン工事や非常用発電装置の電気工事が可能になる | 5年以上のネオン関連工事の実務経験及び認定講習の受講 |
1級電気工事施工管理技士
(国家資格) |
マンションやビルなどの大きな現場(4,000万円以上で下請けに発注可能な規模)で電気工事の現場全体の管理が可能になる | ※下記画像参照 |
2級電気工事施工管理技士 (国家資格) |
マンションやビルなどの大きな現場(4,000万円以下で下請けに発注可能な規模)で電気工事の現場全体の管理が可能になる | ※下記画像参照 |
電気主任技術者 (国家資格) |
電気工事の現場監督が可能になる ■第一種電気主任技術者:すべての工事現場 ■第二種電気主任技術者:17万ボルト未満の工事現場 ■第三種電気主任技術者:5ボルト未満の工事現場 |
特になし |
※1級電気工事施工管理技士資格取得条件
画像引用|一般社団法人建設業振興基金「令和3年度1級 電気工事施工管理技術検定のご案内」
※2級電気工事施工管理技士資格取得条件
画像引用|一般社団法人建設業振興基金「令和3年度2級電気工事施工管理技術検定のご案内」
上記以外にも電気工事士の資格はたくさん存在し、実務経験が必要な資格もあるので、まずはしっかりと経験を積んでステップアップをしていきましょう。
電気工事士の転職の方法や向いている人の特徴とは?
「電気工事士へ転職したいけれど、転職方法がわからない」「自分には向いているかわからない」という人に、電気工事士の転職方法や向いている人の特徴を解説します。転職活動を始める前に、効率のよい方法や自分の向き不向きを把握しましょう。
電気工事士の需要は増加傾向にある
電気工事士は将来性が高い仕事で、今から転職しても十分に間に合うでしょう。
電気工事士に限らず、建設業界で働いている人の平均年齢は高く、少子高齢化により、若い世代が少なく慢性的な人手不足に陥っています。国土交通省が発表した「建設及び建設工事従事者の現状」によると、建設業全体の平均年齢は45.8歳、55歳以上の従事者が約34%を占めています。
しかし、29歳以下の若い世代の従事者は約11%しかいません。したがって、10年後には今の高い技術を持った高齢世代が大量に引退を迎えるため「工事を依頼したくても依頼できない」状態に陥ると予想しています。
また、5Gの普及に伴い通信設備の設置やメンテナンス業務などの電気に関する仕事が増えていくでしょう。新しい技術の普及による需要の拡大と若い人材の不足により、電気工事士は将来性の高い仕事と言えます。
電気工事士に向いている人の特徴
電気工事士は「細かい作業が好き」「体力に自信がある」人が向いていると言えるでしょう。電気工事士は細かい配線を処理したり、大量の配線を正しい順番で設置したりする作業が多くなります。配線の選定や処理を間違えてしまうと、大きな事故につながる恐れもあるので、丁寧で細かい作業ができる人材を求められます。
また、工場やマンションなどの新築工事を行うときは屋外での作業が多く、夏は暑く冬は寒い作業環境です。そのため、体力や忍耐力に自信がない人は辛く感じるかもしれません。
上記の2点を満たしており、電気に興味がある人は電気工事士に向いている人材と言えるでしょう。
電気工事士への転職は転職エージェントを利用しよう!
電気工事士に転職をしたいけれど、転職活動に時間を割けない人や転職活動のやり方がわからない人は、転職エージェントの利用をおすすめします。転職エージェントは、数ある電気工事士の求人から求職者に適した企業を紹介してくれるため、自ら求人を検索する必要がありません。
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電気工事士は「スキルアップ」が年収増の鍵
電気工事士の年収をアップさせるには、次に3つの方法が挙げられます。
- 資格を取得する
- 年収の高い企業へ転職する
- 独立する
電気工事に関連した資格を取得することで、作業できる範囲が増えたり、現場の管理ができるようになったりします。任せられる作業が増えれば増えるほど給与は上がりやすいでしょう。
また、働いている企業によって同じ仕事をしていても年収に開きが出ます。企業規模やルールなどによって、どうしても差が出てしまうので、思い切って年収の高い企業へ転職するのも有効な手段です。
今よりも年収の高い希望条件を満たした企業へ転職したい方は、転職エージェントの活用がおすすめです。できれば、建設業界に詳しいエージェントを選ぶとよいでしょう。
例えば、年間約12,000人の転職相談を受けている転職エージェント「ヒューレックス」の場合、建設業界専任のコンサルタントが電気工事士の資格を持つ多くの転職者をサポートしてきた実績を元に、さまざまなサポートをしてくれます。
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この記事の監修
須賀川 敏哉
神奈川県出身。早稲田大学卒業後、大手証券会社に入社。人材業界では、通算20年以上のキャリア。10年間の証券営業を通じ、経済や景気動向、企業動向の見方を養う。 大手総合人材サービス会社では、首都圏拠点立ち上げ、新宿・丸の内支店長、金融・外資部長、東京本社エリアディレクターを歴任。 ヒューレックスでは、転職支援を中心に、コンサルタントとして幅広い職種と年齢層に対応。
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