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40代の転職と資格事情
資格は知識やスキルの証明になるため、転職活動時にアピールポイントになります。ここでは40代の転職活動における資格事情を解説します。
40代は転職が難しくなることも
厚生労働省の「令和2年雇用動向調査結果の概況」では、年齢階級別の入職率を公表しています。
調査結果によると、40~44歳の男性の入職率は6.5%、45~49歳で5.4%。女性は40~44歳で11.8%、45~49歳で10.7%です。
グラフを見ると、年齢の上昇とともに入職率は低下する傾向にあり、40代の転職のしづらさがうかがえます。
引用:「令和2年雇用動向調査結果の概況|厚生労働省」
転職に向けて資格を取得した40代は1割以下
株式会社ビズヒッツが、40代で未経験の仕事に転職した人を対象に行ったアンケート調査によると、「未経験の仕事をするために準備をした」と回答した人は全体の39.7%。およそ3人に1人が何らかの準備をしています。
実際に準備をした人の内容については、「業務や仕事内容のリサーチ」が38.6%で最多。2位は「仕事に関する勉強」で19.0%、3位が「資格の取得」で17.2%でした。
これらの数値をもとに計算すると、「資格の取得」をした人の割合は全体のわずか6.8%です。このことから、未経験の仕事への転職活動時に資格を取得する40代は少数派であることがわかります。この背景には、「資格取得で転職活動が有利になる」ことを知らない人が多いという現状があります
引用:「40代で未経験の仕事に転職した理由ランキング!男女146人アンケート調査(Biz Hits)|PR TIMES」
40代の転職は年収が下がる人が多い
同調査では、転職後に年収が下がった40代が多いこともわかっています。特に未経験の業種・職種に転職する際には、これまでのキャリアが評価されずに、給与が下がるおそれがあります。
それも、新しい仕事に関連する資格を取得しておけば、未経験の仕事であっても前向きな姿勢を評価され、より良い待遇を期待できるかもしれません。
引用:「40代で未経験の仕事に転職した理由ランキング!男女146人アンケート調査(Biz Hits)|PR TIMES」
資格を取得するべき40代の特徴
転職活動に向けて資格を取得する40代は少数派です。確かに、資格の取得は必ずしも転職に役立つとは言えません。しかし、なかには資格を取得したほうが良いケースもあります。
ここからは、資格を取得するべき40代の転職希望者について説明します。
未経験の業種・職種にチャレンジする人
未経験の仕事にチャレンジする場合、転職活動で実務経験をアピールできません。そのため、新しい仕事に関連する資格の取得がおすすめです。
資格を取得しておくと、転職先の仕事内容や文化を理解しやすくなるうえに、未経験の仕事に対する本気度を示すことができます。年齢というハンデがあっても、資格をアピールすることで他の応募者に差をつけられるでしょう。
少しでも年収アップを目指す人
厚生労働省の「令和2年就労条件総合調査の概況」では、資格手当を支給している企業のデータを公表しています。
この調査によると、50.8%もの企業が「技能手当」や「資格手当」を支給しています。「労働者1人当たりの資格手当支給額」の平均は、1ヶ月で18,800円です。この結果からは、資格手当を支給する企業は決して少数派ではないこと、また手当によって年収がワンランクアップする可能性があるとわかります。
また、既に持っている資格の上位資格を取得すると、人事評価に反映されて年収アップにつながりやすい点も特徴です。少しでも年収アップを目指す人は、手当の対象となる資格の勉強から始めてみてはいかがでしょうか。
参照:「令和2年就労条件総合調査の概況|厚生労働省」
管理職経験がない人
「プレーヤー」としてのスキルが求められる20代・30代とは異なり、40代では一歩上の「マネジメントスキル」が重要視される傾向にあります。したがって、40代の転職活動では「管理職経験」や「マネジメントスキル」の有無が問われます。これまでに管理職経験がない方は、転職活動で苦戦することも。
しかし、管理職経験に代わるような資格を有することで、自分の強みを存分にアピールできるはずです。
40代の転職活動で資格を取得するときの注意点
40代の転職活動で資格を取得すると、年齢というハンデをカバーでき、選考を有利に進められます。一方で、ただ資格を取得すれば良いわけではなく、気をつけるべきポイントがいくつかあります。40代の転職活動で資格を取得する際には、どのようなポイントに注意すべきでしょうか。
応募業種・職種に資格をマッチングさせる
取得する資格は、応募する仕事に関連した資格にチャレンジすると良いでしょう。転職先で役立つ資格を取得していると、仕事に関する熱意や学習意欲を示せて、面接官に良い印象を与えられるはずです。
難易度よりも実用性を重視する
資格取得自体は目的ではなく、あくまで仕事をスムーズに進めるためのツールにすぎません。そのため、合格率が低い高難易度の資格よりも、仕事上で資格の知識を活用できるかなどの「実用性」を重視しましょう。
たとえば行政書士や登録販売者などは、資格を保有していなければできない仕事があるため、転職市場では重宝されやすいものです。仕事と資格の関連性を念頭に置いたうえで、「実用性」のある資格を選ぶと良いでしょう。
面接では資格だけではなくこれまでの実績もアピールする
入社後の「伸びしろ」に期待される新卒とは違って、中途採用試験では即戦力となる人材が求められます。「即戦力」のアピールには、資格よりも「実務経験」が有効です。そのため、面接では保有資格だけではなく、これまでの仕事の経歴・実績もアピールしましょう。
勉強中の段階でも面接官からは好感を持たれやすい
転職活動ではやるべき事が多く、資格勉強の時間を取りにくいこともあります。また、試験日程が限られる資格の場合、資格取得が採用試験までにできないことも。しかし、資格は勉強中の段階であっても、勉強意欲や努力する姿勢をアピールできるため、面接官に好印象を与えられます。面接や履歴書では資格取得に向けて勉強中であることを積極的にアピールしましょう。
転職活動を始める40代におすすめの資格
資格と一口に言っても、幅広い分野が存在します。ここでは、転職活動時におすすめの4つの資格を、それぞれの特徴や難易度とともに紹介します。
※難易度については、1から5までの5段階評価で表示しています。
TOEIC【難易度:★★★☆☆】
TOEICは、日常生活やオフィスでの英語によるコミュニケーション能力を測定する試験です。英語を「聞く」力を測定する「リスニングセクション」、「読む」力を測定する「リーディングセクション」の2部構成で、合計10~990点のスコアで評価されます。
TOEIC運営元のIIBCによると、企業が中途採用者(英語を使用する部署)に求めるTOEICのスコアは平均620です。
また、企業が社員に期待するスコアは中途社員の場合560で、600前後のTOEICスコアがあれば、中途採用試験で有利といえます。TOEIC600を超えるには、一般に200時間程度の勉強が必要だと言われているため、最低でも一日2時間の勉強を3ヶ継続して行う必要があります。
URL:https://www.iibc-global.org/
行政書士【難易度:★★★★★】
「行政書士」は、許認可申請など、行政に関わる手続きを代行できる国家資格です。会計記帳・決算・財務諸表など会計業務に関する知識に加えて、法律上のトラブルを未然に防ぐ考え方も身につきます。そのため、企業の経理・法務部門への転職活動では有利です。
試験日は毎年11月の第2日曜日で、チャンスは年に1度のみ。直近10年間の合格率は10%前後で推移していて、直近の令和2年度試験では10.7%でした。
法律初心者が合格するための勉強時間の目安は、800~1,000時間です。これは、1日2~3時間の勉強を1年間続けて行うイメージです。
URL:https://gyosei-shiken.or.jp/
2級FP技能士(CFP)【難易度:★★★★☆】
FP(ファイナンシャルプランナー)は、「事業継承」や「資産運用」などお金に関わる6つの分野について、体系的に知識を網羅できる試験です。
1・2・3級のランクに分かれていますが、転職活動でおすすめしたいのは2級です。3級は日常的な知識にとどまるため、仕事では使いにくいもの。反対に1級は金融業に関わる実務経験が受験資格であるため、ハードルが高いとされています。
「学科試験」と「実技試験」の2部構成となっているFP技能士の試験は、まず3級を取得してから2級に挑戦しましょう。過去3年間の合格率は、学科試験で39.43~48.26%、実技試験で46.79~63.87%で推移しています。勉強時間の目安は150~300時間で、1日2時間の勉強を3、4ヶ継続するイメージです。
URL:https://www.jafp.or.jp/exam/
キャリア・コンサルティング技能検定【難易度:★★★☆☆】
「キャリアコンサルタント」とは、労働者に適切なアドバイスや支援を行う「キャリア形成支援のプロフェッショナル」です。この試験では「キャリアコンサルタント」としての知識や技能が問われるため、人事部門や公的就業支援機関、人材紹介会社などへの転職に有利です。「学科試験」と「実技試験」の2部構成で、合格率は全体の25%前後。勉強時間は140~200時間が目安で、1日2時間の勉強を2、3ヶ継続するイメージです。
URL:https://www.career-kentei.org/
証券アナリスト【難易度:★★★★☆】
「証券アナリスト」では、投資価値の分析・評価を⾏うスキルに加えて、経済・資本市場や⾦融商品の仕組みを学べます。また、企業財務の知識やファイナンス理論に⾄るまで、専門的な知識や分析技術が身につくため、金融機関や経理部門への転職におすすめです。合格率は50%前後で、勉強時間の目安は200時間。1日2時間の勉強を3、4ヶ月行うイメージです。
資格の活かし方は転職エージェントに相談しよう
実用性のある資格を取得することで、40代の転職活動は有利に進められます。しかし、ただ資格を持っているだけでなく、効果的なアピールが必要です。
転職エージェント「ヒューレックス」では、求人紹介に加えて、書類添削や面接指導も行っています。面接での資格のアピールの方法もご指導できます。また、資格がない、もしくは業界未経験の人でも受け入れてくれる企業の求人についても取り揃えています。
転職を考えている、もしくは資格取得を検討している人は、ぜひ一度ヒューレックスにご相談ください。
この記事の監修
神谷 貴宏
愛知県出身。大手証券会社、半導体商社の営業を経て、総合人材サービス会社へ入社。 仙台支店での勤務後、大型派遣案件の企画から運用に従事。その後、会社の中核を担う“正社員”のサポートに携わりたいという思いが強くなり、ヒューレックスの設立に参画する。 17年余りにわたるコンサルタントの経験の中で3,000名を超える方々をサポート。個々人の”キャリア”だけでなく”価値観”を大切にしている。
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