目次
ホワイト企業を見つけるためにチェックすべき8項目
求人票を見る時にチェックしたい8項目はこちらの通りです。
- 試用期間中の給料|低くないか確認
- 賃金|平均年収との差額をチェック
- 休日数|年間116日以上は多い
- 固定残業代|みなし残業代をチェック
- 昇給|年1回は昇給がある
- 賞与|前年度の実績を確認
- 時間外労働時間|月平均45時間以上はブラック
- 休日|週休ニ日制は土日休みと限らない
1つずつ詳しく解説します。
試用期間中の給料|低くないか確認
求人票に「試用期間あり」と記載されている場合は、試用期間中の給料が低く設定されていないか確認しましょう。企業の中には、試用期間中の給料を低く設定している場合があるからです。
基本給が同じでも「3カ月職務手当なし」というケースもあります。ハローワークの求人票は、労働条件が同じなら「試用期間」の欄に『同条件』などと記載されています。一般的に試用期間は1~6カ月の企業が多く、最長でも1年ほどです。
もし、特記事項として「給料が低くなる」ことについて書かれていなければ、給料は変わらないと考えていて問題ありません。中には「試用期間だから給料は低くなって当たり前だろう」と考えている企業の採用担当者もいますが、減額について記載せずに給料を下げることはできません。
賃金|平均年収との差額をチェック
次に、求人票に記載されている給料を平均年収と比べましょう。民間給与実態統計調査によると、各年代の平均年収は以下の通りです。
各年代の平均年収
20~24歳 | 260万円 |
---|---|
25~29歳 | 362万円 |
30~34歳 | 400万円 |
35~39歳 | 437万円 |
40~44歳 | 470万円 |
45~49歳 | 498万円 |
勤務地や業種、職種にもよりますが、平均年収より大幅に安い場合は従業員に正しく利益を還元していない企業の可能性があります。高すぎる場合は、過酷なノルマが与えられ達成した時のインセンティブ込みの金額であるケースも考えられます。
ハローワークの求人票の賃金欄は、手取りの金額でなく総支給額です。自分の年代の平均年収をチェックして、年齢に応じた給料がもらえるかを確認しましょう。
休日数|年間116日以上は多い
年間休日数についても確認したいポイントです。年間休日は116日以上あれば多いと考えられます。
令和2年度の年間休日総数の1企業平均は109.9日で、労働者1人平均は116日です(厚生労働省「令和2年就労条件総合調査の概況」参照)。まずは116日以上の休日があるかどうかを求人票でチェックしましょう。
求人票によっては「入社後に数年を経てからの年間休日」や「有給休暇込みの年間休日」を記載しているものもあります。入社を決める前に、年間休日の実態を確認することも大切です。
ただし労働基準法では、週40時間かつ1日8時間以上は労働できないと決められているため、最低でも105日の休日は確保できます。
固定残業代|みなし残業代をチェック
残業制度についても確認しましょう。特に固定残業代は定額で支払われるため、給料と混同しやすくトラブルが起こりやすい項目です。
固定残業制度とみなし残業制度は異なる制度ですが、同じ意味合いで使われることもあります。固定残業代やみなし残業代とは「一定時間は残業するだろう」とみなして、毎月の給料に定額の残業代を上乗せして払うことです。
固定残業代が設定されている場合は、求人票に以下の3つの項目の明示が義務付けられています。
- 固定残業代を引いた基本給
- 固定残業代に関する労働時間と金額
- 固定残業時間を超過した時間外労働などに対して割増賃金を支払うことについての説明
これら3つを踏まえて、OKな求人票の例とNGな求人票の例を見ましょう。
OKな求人票 「基本給:月給30万円(固定残業代4万円。20時間相当分を含む) 20時間を超過した時間外労働の割増賃金は追加で支給する」 |
NGな求人票 「基本給:月給30万円(月給に固定残業代を含む) 固定残業代を超過した割増賃金は別途支給」 |
OKな求人票でチェックすべき項目は、固定残業代を引いた月給は低すぎないかということです。
NGな求人票からは、固定残業時間は何時間でいくら払われるのかが分かりません。極端な場合、固定残業時間60時間で残業代1万円、という可能性も考えられます。
みなし残業代は、ハローワークの求人票の「賃金」欄の「b 定額的に支払われる手当」欄に記載されています。低賃金で従業員を働かせる企業でないかを把握するためにも確認したい項目です。
昇給|年1回は昇給がある
モチベーション高く働き続けるために、昇給についても確認しましょう。年1回昇給する企業が一般的です。平均昇給額の目安はこちらの通りです。
企業規模別の昇給額の目安
企業規模 | 昇給額 |
---|---|
大企業 | 3,000~5,000円 |
中小企業 | 5,000~7,500円 |
中には昇給なしの企業もあります。また「昇給 年2回」と記載されていても、必ずしも年2回昇給される訳ではありません。「昇給(できるチャンスが) 年2回」という意味合いが多いです。
転職エージェントから応募する時は担当者が求人票には記載されていない内情を教えてくれますが、求人サイトから直接応募する時は気をつけましょう。
賞与|前年度の実績を確認
求人票に賞与を記載することは義務付けられていませんが、賞与の多い企業ほど求人票でアピールする傾向にあります。賞与をチェックして企業の経営状況を推測しましょう。賞与は業績の影響を受けやすいからです。
求人票には「賞与 年2回 計2.5カ月分」など、年間で支給される回数や何カ月分かなどが記載されています。または賞与の金額が書かれているところもあります。回数は年2回の企業が多いですが、年1回や3回のところもあります。
賞与は前年度の実績であって、毎年必ず支給される金額ではないため、目安として捉えるようにしましょう。
時間外労働時間|月平均45時間以上はブラック
時間外労働時間はホワイト企業かどうかを判断する重要な項目です。月平均で45時間以上の残業がある企業はブラックと言えます。1カ月45時間の時間外労働(残業)が法律で認められている上限だからです。
ただし、求人票には正直に「残業時間は月に60時間」と書かれていません。そのため、求人票をチェックしつつ、企業口コミサイトや応募する企業や業界に詳しい知人などに確認するようにしましょう。
また、求人票に書かれている残業時間は会社全体の平均残業時間であることも多いです。会社全体の平均で残業が少なかったとしても、部署によって残業過多のところもあります。応募する部署の残業時間について確認することが大切です。
休日|週休ニ日制は土日休みと限らない
休日について確認する時は、週休二日制と完全週休二日制のどちらなのかチェックしましょう。両制度の違いはこちらの通りです。
- 週休二日制・・・1カ月のうち週2の休みが1回はある
- 完全週休二日制・・・毎週週休二日
また、完全週休二日制と書かれていても、土日休みとは限りません。
ハローワークの求人票で土日休みかどうかが知りたい場合は、求人票の「休日等」を確認しましょう。「土 日」「水 木」などと休みの曜日が書かれています。不明な場合は採用担当者に確認することをおすすめします。
求人に書かれていない重要項目
求人票には書かれていないけど重要な項目があります。代表的な4つの重要項目について解説します。
男女どちらの人材を求めているか
企業が男女のどちらの人材を求めているかは求人票に記載できません。男女雇用機会均等法で認められていないからです。
でも、看護師など女性が多そうな職場にも関わらず「男性活躍中!」「6割は男性です」などのキャッチコピーがあるものは、男性を求めていることを匂わせています。求人票の端々から感じられる雰囲気をくみ取って、企業の求めている人物像を探りましょう。
採用したい年齢
企業が採用したい年齢も求人票に記載できません。雇用対策法改正により禁止されたからです。
ただし、長期キャリア形成のために募集する場合などに限っては年齢の上限が記載できます。そのため「39歳以下」などと書かれていたら若い人材を求めていると考えられます。
希望する学歴・出身大学
企業が求める応募者の学歴や出身大学も記載できません。世間に悪印象を与える可能性があるからです。
企業側としては「高学歴の方に来てほしい」といった学歴主義というわけでなく、職場定着率や現社員との兼ね合いを考えて、一定ライン以上の大学出身者を求めるケースがあります。逆に、あまりにも高学歴すぎると受からないこともあり得ます。
NGな転職回数
「20代で転職回数3回以上の方はNG」といった、NGな転職回数も記載できません。転職する理由は人それぞれの為、転職回数を採用条件にするわけにはいかないからです。
ただし、企業の本音としては転職回数が多いと「入社してもすぐに辞めるのではないか」と懸念を抱きやすくなります。そのため「20代で転職回数が3回以上」「半年以内で何度もやめている方」は書類選考でお見送りに合うなど不利になりがちです。
転職回数が多くてもイメージダウンしにくい職務経歴書の書き方があります。転職回数の多さで書類選考が通らない方は、転職エージェントなど転職のプロに相談しましょう。
求人票でよくあるトラブル4選
「求人票で記載されていた内容と実際の労働条件が異なっていた」とよく聞かれるトラブル事例を4つ紹介します。
残業20時間と書かれていたが実際はもっとある
「求人票には残業20時間と書かれていたけど、実際はもっと残業時間がある」というトラブルは非常に多いです。残業の実態は口コミサイトやSNSなどで確認しましょう。
正社員募集かと思ったら契約社員だった
「求人票に正社員と書かれていたけど、採用の段階で契約社員の条件を持ち出された」というケースもあります。求人票と違う雇用形態を打診された場合は、慎重かつ丁寧に希望を伝えましょう。
「採用してもらう立場で希望を主張しにくい」という方は、転職エージェントを利用するとエージェント担当者が代理で交渉してくれます。
交通費支給は一部のみ支給だった
求人票に「交通費支給」としか書かれていない場合は、交通費は一部のみ支給の可能性があります。例えば「月額2万5,000円まで」などです。勤務先から遠方に住む方は 、交通費の支給額をしっかりチェックしましょう。
求人票と就業条件・給料が違うから辞めたい
「求人票に記載されていた内容と労働条件が違うから辞めたい」という方は少なくありません。求人票の内容と実態があまりにもかけ離れていて、違法と認められる場合は即日辞めることが可能です。
「まだ辞めたくはない。まずは状況を改善させるよう努めたい」方は、企業の相談窓口や厚生労働省の「労働条件相談ほっとライン」、ハローワークの「ハローワーク求人ホットライン」などに相談しましょう。
求人票でよくあるQ&A
求人票で「よくあるQ&A」をまとめました。疑問を解決してスッキリした気持ちで応募しましょう。
Q1.大卒以上とあるけど短大卒でも応募できる?
A.応募できます。ただし、企業が大卒以上の方を求めている以上、書類選考で不利になる可能性はあります。とはいえ、学歴が基準を満たしていなくても、ヒューマンスキルでカバーできることも多いので、気になる企業があれば臆せず応募しましょう。
Q2.採用人数枠以上に採用することはある?
A.企業と応募者のスキルによっては採用人数枠以上に採用することはあります。求人票に書かれている「若干名」とは1~10名ほどのことです。
Q3.年齢不問・未経験者歓迎は本当?
A.歓迎されているのは本当です。ただし、必ずしも年齢不問・未経験で採用されるとは限りません。求めている年齢や経験者からの応募があったら、そちらの方が優先的に採用されます。
【番外編】求人サイトで記載条件が異なる理由
求人サイトによって記載されている条件が異なる場合があります。理由は、求人サイトごとに募集したい人材像が異なるためです。また掲載時期が違うため募集要項が変わったことも考えられます。
例えば、求人サイトによって登録している年齢や性別が違います。登録者に合わせた募集要項を書くようにするため、福利厚生などのアピールポイントが異なることもあります。
また、以前の募集条件では人が集まらなかったため、条件を緩和させて違う求人サイトで募集をかけるというケースもあります。その場合、給料や手当などが異なることも考えられます。
求人サイトは自分に合ったものを使うようにしましょう。労働条件の異なる求人票を見つけた場合は、掲載日の新しいものを参考にすることが大切です。
求人票だけでは分からない企業情報を知る方法
求人票に書かれていない企業情報が知りたい時は、転職エージェントの活用がおすすめです。転職エージェントは担当者が直接企業に赴いて、企業情報を取材しているからです。
給与や休日などの条件以外に、社風や配属部署の担当者の人柄などについても詳しいことが多いです。入社後に「考えていた労働条件と違う」というミスマッチを経験したくない方は、転職エージェントの利用を検討しましょう。
求人票の見方をマスターしてブラック企業を回避
求人票をしっかりチェックすることで、ブラック企業を回避することができます。試用期間中の給料や賃金、固定残業代などについて確認しましょう。求人票には、募集している性別や年齢を記載することができません。でもしっかり読み込むことで、募集している人物像が把握できることもあります。求人票はあくまで見込みであって、必ずしも記載されている通りの残業時間であるわけではありません。求人票から見えない情報も拾うように心がけましょう。
「求人票を見ても求められている人物像が分からない」「求人票に記載されていない企業情報について知りたい」方は転職エージェントのヒューレックスにお尋ねください。
ヒューレックスでは、地域密着の転職エージェントとして18年の実績を持ち、多数の転職サポートを行ってきました。企業が求める人物像や実際の労働環境、社風についても精通しています。
「考えていた通りの労働条件の企業に転職できた」とホワイト企業に転職するために、一緒に転職活動を進めて行きましょう。
この記事の監修
神谷 貴宏
愛知県出身。大手証券会社、半導体商社の営業を経て、総合人材サービス会社へ入社。 仙台支店での勤務後、大型派遣案件の企画から運用に従事。その後、会社の中核を担う“正社員”のサポートに携わりたいという思いが強くなり、ヒューレックスの設立に参画する。 17年余りにわたるコンサルタントの経験の中で3,000名を超える方々をサポート。個々人の”キャリア”だけでなく”価値観”を大切にしている。
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