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ワークライフバランスの定義を明確にする
ワークライフバランスとは「仕事と私生活のバランスを取ることで、両方を充実させる働き方と生き方」を意味します。私生活は人によって違うため、ワークライフバランスが取りやすい企業の基準も人によってさまざま。
そのため、まずは自分の中でのワークライフバランスの定義を明確にすることから始めましょう。
ワークライフバランスが取りやすい企業の特徴は以下の通り。
- 残業が少ない
- 完全週休二日制
- 時短勤務ができる
- 育児休業や介護休業が取れる
- リモートワークができる
ご自身の私生活を振り返り、どのような体制の整っている企業であればワークライフバランスが取れるか考えてみましょう。
ワークライフバランスが取りやすい企業を見つける方法
ワークライフバランスが取れる企業を見つけるために、こちらの5つのポイントを押さえておきましょう。
- 休業制度など福利厚生を確認する
- 時短勤務やリモートワークの可否を調べる
- 厚生労働省の認定マークもチェックする
- 口コミを調査する
- 転職エージェントに相談する
上記のポイントについて、それぞれ詳しく解説していきます。
休業制度など福利厚生を確認
休業制度が整っている企業は仕事と私生活が両立しやすくなります。休業制度は、以下のように法律で認められている法定休暇と企業が独自で設けている法定外休暇があります。
各種休業制度
休暇制度の名称 |
内容 | 期間 |
---|---|---|
産前産後休業 (法定休暇) |
産前産後のための休暇 | 出産予定日6週間前~出産翌日から8週間 |
育児休業 (法定休暇) |
育児のための休暇 | 子どもの1歳の誕生日前日まで (条件を満たせば延長可能) |
介護休業 (法定休暇) |
配偶者や両親、子どもを介護するための休暇 | 要介護状態の家族1人につき3回まで 通算93日間まで |
看護休暇 (法定休暇) |
子どもの看病や予防接種のための休暇 | 子ども1人:年5日間まで 子ども2人以上:年10日間まで |
リフレッシュ休暇 (法定外休暇) |
リフレッシュのための休暇 | 3~7日間程度が一般的 |
ボランティア休暇 (法定外休暇) |
ボランティアをするための休暇 | ボランティア活動内容によって異なる |
産前産後休暇や育児休業の取得率が高い企業は、子どもを育てながら働きやすい職場環境と考えられます。
法定外休暇の注意点は「リフレッシュ休暇はあるけど夏季休暇がない」という企業もあることです。法定外休暇をチェックする時は、他の一般的な休暇があるか確認しましょう。
時短勤務やリモートワークの可否を調べる
時短勤務やリモートワークなど、柔軟な働き方のできる勤務形態があるか確認しましょう。勤務形態の例を紹介します。
柔軟な働き方のできる勤務形態
勤務形態 |
内容 | 取り入れている有名企業 | |
---|---|---|---|
時短勤務 | 4,6,7時間など労働時間を短縮して勤務できる | トヨタ自動車 | |
リモートワーク (在宅勤務) |
自宅などオフィス以外の場所で勤務できる | 株式会社リクルート | |
フレックスタイム | 総労働時間の範囲で始業・終業時間が選べる | ソニー株式会社 |
時短勤務やフレックスタイムを導入している企業で働くと、仕事と育児・介護が両立しやすくなります。
厚生労働省や経済産業省の認定マークもチェック
厚生労働省や経済産業省は、従業員の健康維持と会社の生産性向上を目指す健康経営などに取り組んでいる企業に認定マークを付与しています。代表的な認定マークを7種類紹介します。
代表的な認定マーク7種
マークの名称 |
内容 |
---|---|
安全衛生優良企業認定 ホワイトマーク |
労働安全衛生に関して積極的に取り組んでいる企業を認定 |
健康経営優良法人 大規模 ホワイト500認定 |
健康経営を実践している大企業を認定 |
健康経営優良法人 中小規模 ブライト500認定 |
健康経営を実践している中小企業を認定 |
ユースエール認定 | 若者の採用と育成に積極的な企業を認定 |
くるみん認定 | 従業員の子育てを支援している企業を認定 |
プラチナくるみん認定 | くるみん認定を受けた企業の中から、 さらに高い水準の取り組みを行っている企業を認定 |
えるぼし認定 | 女性の活躍推進に積極的な企業を認定 |
上記7種類のマークのどれかを取得していたら、ワークライフバランスが取れた働き方のしやすい企業である可能性は高いです。安全衛生優良企業マーク推進機構のサイトで企業名や住所を入力すると、認定マークを取得しているか検索できます。
口コミを調査する
企業の口コミから社風など数値化しにくいものが把握できます。企業の口コミを調べる手段は以下のようなものがあります。
- 転職活動の口コミサイト
- 就職活動の口コミサイト
- SNS
- 動画
- 同業他社に勤める友人
企業の口コミを実名で紹介している場合は、企業のことを悪く言わない傾向にありますし、匿名の場合は悪く言うことが多いようです。企業の口コミについて調べる時は、いくつかの情報元を参考にして総合的に判断しましょう。
同業他社に勤める友人がいると、業界内での評判について良い部分も悪い部分も教えてもらいやすくなります。
転職エージェントに相談する
転職エージェントに相談すると、ワークライフバランスが取れる企業か把握しやすくなります。転職コンサルタントが、求人を出している企業に赴き労働環境や社風について確認しているからです。
同じ企業でも部署によって労働環境の異なることは多いものです。育児休業制度や時短勤務は制度として存在していても、取得しやすい雰囲気の企業もあればしにくい雰囲気の企業もあります。
「外からでは見えにくい労働環境と社風」について知りたい方は、転職エージェントの利用がおすすめです。
ワークライフバランスが取れる業界と職種の特徴
ワークライフバランスが取りやすい業界と職種はどのようなものがあるのでしょうか。残業の少なさや休日の多さなどの観点から、ワークライフバランスの取りやすい業種や職種、企業規模について解説します。
残業が少なく休日数が多いのはメーカー
ワークライフバランスが取りやすい企業は「残業は少なく休日が多い」傾向にあります。これに当てはまる企業が多い業種はメーカーです。
求人サイトdodaの全80業種の「残業時間の少ない順」と「年間休日数の多い順」を参考に「残業時間が少なく年間休日数の多い業界」をまとめました。
「残業時間の少ない順」「年間休日数の多い順」の1位を1点、2位を2点というように順位を点数に置き換えて、合算した点数の小さい順からランキング形式で表しています。
その結果、メーカーが上位を占めていることが分かります
残業が少なく休日の多い業種ランキング
総合順位 | 業種(大分類) | 残業時間 少なさ順位 |
残業時間 | 年間休日
多さ順位 |
年間休日数 |
---|---|---|---|---|---|
1位 | 医療機器メーカー | 6位 | 13.9時間 | 4位 | 130.5日 |
2位 | クレジット/信販 | 3位 | 12.8時間 | 12位 | 128.5日 |
3位 | 化学/素材メーカー | 11位 | 17.5時間 | 10位 | 128.8日 |
4位 | 化粧品メーカー | 14位 | 11位 | 11位 | 128.5日 |
5位 | 電子/電気部品/ 半導体メーカー |
25位 | 19.9時間 | 2位 | 132.7日 |
メーカーで工場勤務の場合は残業が多くなることもありますが、営業職や事務職などの管理部門は取引先が固定されているため残業も少ない傾向にあります。特に、医療機器メーカーや医薬品メーカーの営業職は客先からの直行直帰が認められやすい文化があるため、残業はあまりありません。
化学メーカーは、販売する製品の寿命が長いため、のんびりした社風の企業が多いです。残業が少なく休日も多い傾向にあります。
事務職など管理部門は残業が短め
残業時間が短い職種は、事務アシスタント職です。90職種のうち、残業の少ない職種ランキングはこちらの通りです。
残業の少ない職種ランキング
順位 | 職種名 | 残業時間 |
---|---|---|
1位 | 営業事務アシスタント | 9.2時間 |
2位 | 医療事務アシスタント | 10.7時間 |
3位 | MR | 11.8時間 |
4位 | 薬事(医療関係専門職) | 12.5時間 |
5位 | 一般事務アシスタント | 12.7時間 |
事務アシスタント職は、顧客の都合に合わせて動くことが少ないため、残業も少ない傾向です。また、自分で段取りを立てて仕事がしやすい職種のため、仕事に追われにくくなります。
ただし、企業によっては営業事務アシスタント職にも関わらず、営業職のような仕事を任されることもあります。応募時は、業務内容をしっかり確認しましょう。
大企業は福利厚生が充実している傾向にある
休業制度などの福利厚生は大企業が整っている傾向にあります。大企業は、福利厚生に投資できる余裕のある企業が多いからです。福利厚生の一例を紹介します。
- 各種休暇制度
- 教育制度(専門的な教育や国内外の大学の留学支援など)
- 研修制度(メンタルヘルスケアやメタボ対策など)
- 社内託児
- 社内診療所
- 図書館
- 社員食堂
- 労働組合
社内託児があれば、保育園探しで苦労することもありません。社内診療所を備えている企業では、就業時間中に無料で診察してもらえるケースもあります。
ただし、社内診療所の中には「無料なだけあって自社の診療所の診察はあてにならない」と社員から言われているところもあります。企業の福利厚生が自分にとって使いやすいかどうかは、内部事情に詳しい社員や転職コンサルタントに確認しましょう。
ワークライフバランスが取りにくいのはメディアやIT企業
ワークライフバランスが取りにくい傾向にあるのは、メディアやIT企業です。
メディアは放送日や印刷日などの締切があるため「期限までにより良いものを作ろう」と考えが強いため労働時間が長くなりがちです。IT企業のエンジニア職も、納期や急な仕様変更に対応する必要があるため労働時間は長くなります。
dodaの調査でも、メディアとIT企業は残業が多い傾向にありました。全80業種の中で残業の多い業種ランキングは以下の通りです。
残業が多い業種ランキング
順位 | 業種/小分類 | 業種/大分類 | 残業時間 |
---|---|---|---|
1位 | 広告 | メディア | 49.1時間 |
2位 | 新聞 | メディア | 40.9時間 |
3位 | EC/ポータル/ASP | IT企業 | 36.5時間 |
4位 | コンビニエンスストア | 小売/外食 | 36.3時間 |
5位 | コンサルティングファーム/シンクタンク | IT企業 | 35.3時間 |
ただし、全てのメディアとIT企業でワークライフバランスが取りにくいわけではありません。メディアとIT企業は休日数が120日前後ある企業も多いです。
ハードワークな業界という印象がある分、求人の応募者数が限定されて狙い目の企業もあります。
ワークライフバランスが転職の軸の時の注意点
転職活動の軸が「ワークライフバランス」の人は、転職活動で注意したいことが3つあります。
- 転職理由は「ワークライフバランス」と言わない
- ワークライフバランスのみを重視しない
- キャリアチェンジも視野に入れる
1つずつ見ていきましょう。
転職理由は「ワークライフバランス」と言わない
転職活動の面接で転職理由を聞かれた時は「ワークライフバランスを整えたいから」と答えないようにしましょう。プライベートを重視していると捉えられかねないからです。
「ワークライフバランス重視」は伝え方によっては「私生活を満喫したい」と誤解されてしまう可能性があります。そのため、面接では転職理由として伝えないほうが無難です。
ワークライフバランスのみを重視しない
転職先を探す時は、ワークライフバランスのみを重視しないようにしましょう。ワークライフバランスが第1条件だったとしても、仕事のやりがいや給料などの第2、第3条件も考えて選ぶことをおすすめします。
現職が忙しくて心身も疲れ切っているなら、ワークライフバランス以外の労働条件が悪くても甘受してしまう可能性もあります。より良い企業に転職するために、諸条件も冷静に確認しましょう。
キャリアチェンジも視野に入れる
ワークライフバランスが取りやすい業種や職種はあるため、どちらかを変えるのも1つの方法です。両方を変えるより、業種か職種の一方だけ変えた方が実務経験もアピールしやすくなります。
営業職から営業事務に転職したり、エンジニア職でT企業からインフラ系に転職したりすることは可能です。キャリアチェンジでワークライフバランスの取りやすい仕事に転職しましょう。
ワークライフバランスの良い企業へ転職する方法
ワークライフバランスの良い企業へ転職するためには、転職エージェントの活用がおすすめです。転職エージェントを利用すると、自分に合った企業を紹介してもらえるからです。
「現職を続けるのは限界だから早く転職したい」と焦って冷静に諸条件の良し悪しが判断できなくなっていても、転職コンサルタントが給料や仕事内容などをプロの視点でチェックしてくれます。
転職エージェントの中では、独占求人を多数保有しているヒューレックスがおすすめです。ヒューレックスは地方金融機関と連携しているため、企業の経営状況や休業制度などに精通しています。
転職エージェントを活用してワークライフバランスの取れる企業を見つけましょう。
ワークライフバランス重視の転職活動を成功させよう
ワークライフバランスが取りやすい企業に転職するためには、休業制度などを確認し、時短勤務など柔軟な働き方ができるか確認しましょう。口コミをチェックして、制度が利用しやすい社風か確認するのも大切です。
「中小企業を希望しているから口コミが見つけられない」方は、ヒューレックスにお任せください。ヒューレックスの転職コンサルタントは、中小企業に足を運んで社風や残業時間を取材しています。入社してみないと分からないような情報を把握しているので、登録者一人ひとりに合った企業を紹介いたします。
この記事の監修
神谷 貴宏
愛知県出身。大手証券会社、半導体商社の営業を経て、総合人材サービス会社へ入社。 仙台支店での勤務後、大型派遣案件の企画から運用に従事。その後、会社の中核を担う“正社員”のサポートに携わりたいという思いが強くなり、ヒューレックスの設立に参画する。 17年余りにわたるコンサルタントの経験の中で3,000名を超える方々をサポート。個々人の”キャリア”だけでなく”価値観”を大切にしている。
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