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40代転職における志望動機で企業の人事が確認するポイント
40代の転職においては、20代・30代とは人事の確認項目が異なります。
志望動機に関しても、40代という年代に見合った内容であることが要求されます
人事が40代転職者をチェックする項目は、以下の3項目です。
- 志望度合い
- キャリアプラン
- 社風・企業風土とのマッチング
志望度合い
40代転職者に関しても、志望動機は非常に重要なポイントです。
ただ、20代・30代と異なるのは40代の志望動機に関しては、より具体性が強く求められるということです。40代はポテンシャル採用ではないため、抽象的な表現で熱意をPRしても志望度合いはあまり伝わりません。
また、40代で現在の仕事を退職する理由に関しても、人事を納得させる必要があります。だからこそ、これまでのキャリアを踏まえた具体的・合理的な志望度合いが必要です。
つまり、「これまでに行ってきた〇〇という経験を活かすために、御社の〇〇という事業で力を発揮したいと思っています」といったように、ご自身のスキルや経験にひもづいた志望動機により、熱意を伝える必要があるということです。
キャリアプラン
40代転職者を見るときには、5年後・10年後のキャリアプランも重要なポイントです。
終身雇用制が崩れ、40代で転職をする方は珍しくなくなってはきたものの、現在の日本ではまだ一般的とまではいえません。リスクを冒して転職をすることに対する明確な理由に加え、その後のキャリアプランが明確化されていない場合には、「軸が定まっていない」とみなされる可能性があります。
- 5年後までに、〇〇という成果を挙げたい
- 10年後には、〇〇のポジションに就いていたい
といった具体的なプランが必要です。企業側も、人材を採用する際には長期的な展望に基づいて検討をしているため、企業側の採用意図とキャリアプランとのズレが大きくないことも重要な要素です。
社風・企業風土とのマッチング
志望動機から、基本的な行動理念や考え方などを企業の人事は読み取ります。そして、性格や志向などが企業の文化・社風・風土とマッチするか否かを判断します。
それほど、40代の転職においては社風とのマッチングは重要です。転職者が会社になじめない場合、スキルや経験がどんなにすぐれていたとしても実力を発揮することは容易ではありません。
逆に社風にマッチしない中途採用者が、実力を発揮できないまま早期退職をしてしまうケースも多々あります。
40代の求職者が転職志望理由で失敗しがちなパターン
40代の求職者が転職志望理由で失敗してしまうのはいくつかパターンがあります。
典型的なケースとして、以下の例を解説します。
- 熱意を伝えられていない
- 採用企業側の視点がない
- 入社後のキャリアパスが伝えられていない
- 転職志望例文の受け売り
熱意を伝えられていない
志望企業に入社したいとの思いがどれだけ強くても、熱意を伝えられなくては意味がありません。20代・30代と40代とでは要求される水準が異なるため、30代までの転職では問題視されなくても、40代では不十分だと見なされることもあります。
熱意が不十分であるとみなされる典型的な例は、以下のケースです。
- 抽象的である
- 企業理念をそのまま引用するなど「手抜き」と見なされる書き方をしている
- 企業や業界の研究が不十分である
例えば、実績や経験を記載する際には、数値やデータを記載して定量的なデータを記載するように意識する必要があります。
採用企業側の視点がない
転職においては、企業側にとって求職者を採用するメリットがあるか否かが大きなポイントです。つまり、求職者が企業に貢献できる見込みが低ければ、企業側が採用するメリットはありません。
しかし、いざ志望動機を記入する際には企業側の視点が抜け落ちてしまい、本人の思いだけを記載してしまう方が多数存在します。このような志望動機は、企業に対するアピールになりません。
「〇〇という貢献をしたいと思っているため、貴社を志望します」といった具合に、企業側のメリットを紐付けてご自身の思いを伝えるべきです。
入社後のキャリアパスがない
40代の転職において、書面からキャリアパスが確認できないと、人事側は「5年後・10年後のキャリアパスをどのように考えているのだろうか?」といった疑問が残ります。
40代で転職を希望し、その後のプランが記載されていないというのは、「行き当たりばったり」だという印象につながるためです。
結果的に書類選考が通らなかったり、大きな減点要因となってしまったりします。
志望動機は、必ず経験や実績などの過去・現在の熱意・将来のキャリアパスを意識して記載しましょう。
転職志望理由の例文の受け売り
インターネットや市販の転職対策本には、志望動機の例文が記載されています。
これらの例文は、見本としては非常に良いのですが、そのまま丸写しするのは厳禁です。インターネット上には「そのまま使用できる」と誤認させるものもあるかもしれませんが、誰にでも当てはまるという時点で「具体性を大きく欠いて」います。
したがって、例文を参考にするのは良いですが、そのまま使用するのは厳禁です。
40代の求職者の経験を活かした志望動機例文
職務経歴書に記載する志望動機に関して、例文があれば参考になるのは確かです。
例文をそのままコピーするのは厳禁ですが、経歴やスキルを活かした志望度合いの伝え方やアピールの仕方については例文があったほうがイメージしやすいでしょう。
この章では、40代求職者の方が参考にしていただける志望動機例文集を解説します。あくまでも「例文」であるため、そのまま使用するのではなく必ずご自身の状況に照らし合わせて参考にしてください。
それぞれ、条件などを設定したうえで紹介します。
中堅建築企業(マネージャー採用)に応募する場合
求職者・転職企業の基本情報を踏まえたうえで、志望動機の例文を記載します。
求職者の基本的な情報
- 年齢:45歳
- 前職:準大手の総合建築業者(建材の仕入れ・卸し)・課長職
- 転職の理由:①勤務先が事業再編により部門統合され、今後スキルを発揮しづらくなったことがきっかけ②スキルや経験を活かして、より自分自身の裁量を発揮したい
転職企業の情報
- 中堅建設企業
- 建材の仕入れ・卸し
- 全国に販売網を展開・海外からの仕入れもあり・IT技術を導入したサプライメネージメントチェーンに対応
志望動機
「私が御社を志望する理由は、2点あります。
1点目は、私の持っている経験を最大限に発揮して仕入れから販売までを一貫してマネージメントして収益の最大化に貢献したいという思いを持っていることです。
前職では部門ごとに事業が分断されており、組織体制上どうしても一人の担当者が全ての工程を管理することは不可能でした。幸い私はこれまで仕入れと卸の両方の部門を経験しているので、一貫して担当することが可能です。
御社の場合には、クラウドを利用したシステムを導入されているとのことですので、ITの力と私自身の経験をうまく組み合わせることで合理的な管理ができるのではないかと感じています。
2点目は、御社の収益性を今後高めていけると予想をしているためです。システムを活用して海外から仕入れをおこなっていること自体は競合他社も行っていますが、御社は現地法人を設立されているとホームページにて拝見しました。
私は、海外拠点のマネジメント経験はないものの、前職にて海外の業者との交渉を行っており、英語力・マネジメント力で御社に貢献できると自負しております。現地の拠点の的確な管理と仕入れの高速化を実現すれば、御社の業界内での存在感はますます高いものになると思われます。
上記2点より、私は御社を志望します。
将来的には、もし機会をいただけたら海外赴任やグローバル事業の担当者としても力を発揮させていただけたら幸いです」
地域密着中小規模の広告代理店に応募する場合
地域密着型の中小企業の広告代理店に応募する場合についても解説します。
求職者の基本的な情報
- 年齢:41歳
- 前職:中堅の企業向け広告・イベントの企画・編集
- 転職の理由:紙媒体を中心とした業界の展望に不安を感じている
転職企業の情報
- 地域密着型・従業員規模50名の広告代理店
- 創業年数は若いものの、地元では高いシェアを誇っており、顧客の大半がリピートユーザー
- SNS戦略やLP制作による成約率に定評があり、近年は他地域の顧客をオンラインで取得できている
志望動機
「私が御社を志望する理由は、私の企画・編集のスキルが最大限に活かせると感じたためです。私は、前職にていくつかの大型イベントを成功させました。例えば、昨年に食品関連事業者向けの衛生対策セミナーの集客にて集客の企画を私が責任者として担当した際には、前年比40%アップの180名の集客に成功しています。
ただ、私は今後はインターネットをより積極的に活用し、集客や企画作成を進めて参りたいと考えています。
そして、インターネットの活用という点においては、私は御社のメディアを効果的に使ったプロモーションに注目しておりました。御社のWebにおけるノウハウに私の企画力をうまく応用すれば、さらに集客力のあるプロモーションが作成できるのではと考えております。
また、私は前職では10名のチームの管理や強力チームとの交渉を担っておりました。もし担当させていただけるチャンスがあれば、より強いチームを作成し、さらに将来的には大きなチームになるように尽力したいと考えています。」
40代求職者の人事に刺さる志望動機のポイント
40代求職者が魅力的な転職志望動機を記載するために押さえておきたいポイントが3点あります。ポイントを押さえることで、採用のチャンス・可能性は大いに広がります。
この章では、以下のポイントを解説します。
- 職歴・経験の棚卸し
- 転職先企業の入念なリサーチ
- 業界・競合他社のリサーチ
経験・スキルの棚卸し
志望動機における最も重要なポイントの一つである具体性は、経験・スキルの裏付けが不可欠です。したがって、志望動機を作成する際には、経験・スキルを一つひとつ明確にする必要があります。
ポイントは、志望動機や企業に対するアピールと紐付けながらご自身の経験・スキルを洗い出すことです。
単にこれまで担当してきた職務内容や保有している資格を記載するのではなく、資格・経験を活かして何ができるのか?という視点が必要です。
転職先企業の入念なリサーチ
転職先企業の入念なリサーチも必要です。なぜなら、志望動機は応募する企業の現状・強み・課題に合わせて調整することで、アピール力が高まるためです。
このとき、リサーチの粒度が細かければ細かいほど、アピール力が高まります。ご自身がどのように活躍したいのか、どのようなスキルを活かしたいのかという点を想像しながら、リサーチすることがポイントです。
リサーチの情報入手経路のベースとなるのは、企業のホームページ・IR情報・パンフレットなどのオフィシャル情報です。ただし、これらの公表されているデータのみでは、社内の雰囲気や現在の課題などは確認できません。
深い情報を得るための一つの手段が、企業と深い関わりを持つ転職エージェントに相談することです。特に、地元企業密着型の転職エージェントは、企業の経営陣や担当者と頻繁にやりとりをし、企業内の現状や将来の展望などの情報を持っています。
転職活動を有利に進めるために、積極的にこれら転職エージェントを活用しましょう。
業界・競合他社のリサーチ
業界や競合他社のリサーチが不十分なケースも多く見られます。
業界や競合他社のリサーチが不十分な志望動機は、以下につながる可能性があります。
- 業界に関する知識がズレていて、志望の企業に入社しても志望動機に書かれた内容を実現できる見込みが低い
- 志望動機として記載した内容は、競合他社でも実現できる(転職希望の志望動機としての説得力が弱い)
- 入社後に大きなギャップを感じる
転職先企業だけではなく、業界・競合他社も含めた入念なリサーチが必要です。
40代転職者が魅力的な希望動機を書くには転職エージェントを利用しよう
40代転職者の志望動機において重要なポイントは、具体性です。
そして、具体性を志望動機の中に盛り込むためには、企業や業界の現状を入念にリサーチした上で、経験やスキルを盛り込んでアピールする必要があります。
転職活動において、正確かつ豊富な情報を得ることは非常に重要なことです。そのためには、インターネット情報などに限らず、転職エージェントの情報なども効果的に活用する必要があります。
転職エージェントに転職の相談をした場合には、志望動機の書き方やアピールの仕方についても有益なアドバイスを得られます。
当社ヒューレックスでは、経験豊富で地域の企業と密な関係性を持つキャリアコンサルタントが一人ひとりの状況に応じて対応しています。志望動機の書き方について迷っている方、熱意がうまく伝わらず採用選考で望ましい成果を得られていない方は、ぜひ気軽にご相談ください。
この記事の監修
神谷 貴宏
愛知県出身。大手証券会社、半導体商社の営業を経て、総合人材サービス会社へ入社。 仙台支店での勤務後、大型派遣案件の企画から運用に従事。その後、会社の中核を担う“正社員”のサポートに携わりたいという思いが強くなり、ヒューレックスの設立に参画する。 17年余りにわたるコンサルタントの経験の中で3,000名を超える方々をサポート。個々人の”キャリア”だけでなく”価値観”を大切にしている。
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