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厳しい40代転職事情|採用企業側の3つの理由
40代での転職が「厳しい」と言われるのは多くの要因がありますが、大きく分類すると企業側・求職者側の理由に分かれます。
採用企業側と求職者側の原因を混同しないことは、課題の把握という点において非常に重要です。
まずは、採用企業側の事情により40代での転職が厳しくなる理由として、以下の3点を解説します。
- 要求されるスキル・経験のハードルが高い
- 求人の母数が少ない
- 既存の従業員との関係性に関して懸念が生じやすい
要求されるスキル・経験のハードルが高い
「ポテンシャル採用」として、スキルや実績がなくても採用が認められる20代・30代とは異なり、40代転職にはスキル・経験が求められます。しかも、40代転職者に要求されるスキルや経験は非常に高度です。
スキル
- 募集中の業種・職種に関するエキスパートとしての高度なスキル、希少性の高いスキル
- 企画力、マネジメント力、折衝力など総合的なビジネススキル
経験
- チームリーダーとしてのマネジメント経験
- 主要メンバーとしてのプロジェクト立ち上げ経験
- 応募職種に近い業種・職種での優れた実績
一般的に、スキルの裏付けとなる物が経験・実績となるため、基本的にスキルと実績はセットで評価されることが多いです。
求人の母数が少ない
大手転職サイトの求人情報を見ても分かるように、40代以上を対象とする求人募集の割合は多くありません。その主な理由は2点あります。
1点目は、ポストが採用企業側で埋まってしまうという問題です。
そもそも、40代以上の転職者はマネジメント層の募集が大半を占めるため、ポストが限られています。そして、仮に企業側において管理職者の離職などにより人員が不足をした場合であっても、企業は自社の人材の役職を引き上げて人材を補充する傾向が見られます。
2点目は、企業側が転職者のミスマッチを恐れるケースが多いという点です。
マネジメント層においては、業務におけるスキルやマネジメント能力に加えて以下の点を満たす必要があります。
- 企業理念やビジョンに沿った働き方
- 既存の社員との良好な関係性の構築
ただでさえ転職者のミスマッチは起こりやすいものですが、年代が上になればなるほどそのリスクが高くなると考える方が多いのが現状です。
既存の従業員との関係性に対する懸念がある
企業の人事部が40代を採用する際に懸念するポイントが、中途採用社員と既存社員との関係性です。特に、40代転職者の場合は、以下の理由により懸念が大きくなりがちです。
- 40代の転職者は、前職以前の考え方や仕事の進め方が定着していることが多く、異なる企業文化や仕事の進め方を受け入れがたいのではないかと懸念される
- 40代での入社の場合は、直属の上司や同僚が年下になることが多く、転職者が溶け込めずに疎外感を持ってしまうことがある
- 管理職採用となった際に、管理職のポストへの出世を狙っていた既存社員の妬みを買ってしまうことがある
従って、40代の転職者は20代や30代の転職者以上に良好な関係性を構築するのが難しいという現状があります。
厳しい40代転職事情|求職者側の3つの理由
40代での転職成功を厳しくしてしまう要因は、求職者側にもあります。多くの転職者に見られる理由を以下3点紹介します。
- 年収ダウンの可能性がある
- 業種・職種のミスマッチが起こりやすい
- プライドが邪魔をすることがある
年収がダウンする可能性がある
40代で転職をすると、年収がダウンする可能性があります。
同業種・同職種で経験や実績を生かした転職であっても、転職をきっかけに年収がダウンしてしまうことは珍しいことではありません。
転職時の段階において、転職先企業では資格や数値化された実績などは評価されるものの、企業への貢献度や数値化されないスキルなどは評価に反映されにくいためです。
40代の場合は、家族を養わなければならないことや自分自身の老後の備えなどを視野に入れる必要性があるため、一時的な減収であっても許容できないケースが考えられます。
転職時の減収は、世代を問わずリスクとして存在しますが、40代では現実的な視点で状況を確認する必要があります。
業種・職種のミスマッチが起こりやすい
40代の転職においては、経験やスキルを生かすことが必須条件ともいえます。
しかし、近年のIT化やグローバル化などによって産業構造が大きく変化する中で、40代転職者が経歴にマッチした職種を探すことが困難なケースが珍しくありません。
40代の社員の活躍が見込まれる管理系・事務系の職種は、有効求人倍率が全職種の平均よりも低い傾向があります。また、業種に関してもIT系や医療系などの高度な技術を要する業界や、サービス業・介護業界などの慢性的な人手不足に陥っている業界の求人数が多い傾向があります。
著しい人手不足が問題化している業界では、給与水準や労働条件が厳しいケースが大半です。
いかに特定の業界での実績やスキルが優れていても業界自体の成長性が低い場合にはキャリアを生かした転職は簡単ではありません。
プライドが邪魔をすることがある
優れた実績や経験があっても、転職先の企業においては「新人」であることに代わりはありません。年下の上司から指示を受けたり、自分自身よりも経験やスキルの乏しい同僚に教えを請うたりする場面に、多々遭遇することでしょう。
謙虚に状況を受け入れて、学ぶ姿勢を維持できる方であれば問題ありませんが、屈辱を感じられる場合には仕事の継続は難しいでしょう。さらに、転職者が自分自身の仕事の進め方や考え方に固執をすると既存社員からの反発を招きやすいため、結果的に関係性の構築にも失敗する可能性が高いです。
厳しい40代転職に臨む際に押さえておきたいポイント
40代転職が厳しいことは受け入れるしかない事実ですが、ポイントを押さえることによりハードルを下げることも可能です。この章では、40代の転職者が、転職活動に挑む際に押さえておきたいポイントを解説します。
ポイントは、以下の4点です。
- 採用が確定するまで現職を辞めない
- スキル・経験の棚卸しをする
- キャリアパス・人生設計を明確にする
- 志望動機を明確にする
採用が確定するまで現職を辞めない
厳しい40代転職では、活動のスタートから採用されるまでに長い期間を要する傾向があります。就職までに年単位の期間がかかるケースもあるでしょう。
このとき、先に前職を退職してしまうと、以下のリスクが生じます。
- 収入が発生しない期間が生じる
- 早く仕事を決めなくてはならないという焦りから、不本意な転職先であるにも関わらず妥協をしてしまう
- 職のブランク期間について、採用面接時に人事担当者から質問される
メリットとして、転職活動に専念できるという面はあるものの、デメリットの方が大きいため可能な限り転職の目処がつくまでは退職しないようにしましょう。
スキル・経験の棚卸しをする
40代転職の際には、ポテンシャルではなくスキルや経験が要求されます。
従って、ご自身のスキル・経験を言語化して職務経歴書への落とし込みや面接対策などを行う必要があります。このとき、具体的に表現するために、数値化できるものは数値化するという点も重要な要素です。
キャリアパス・人生設計を明確にする
40代はキャリアパスの最後の分岐点になる可能性がある点を踏まえると、人生設計やキャリアパスを具体的に描く必要があります。
- 5年後・10年後に転職先企業でどのような活躍をしているか?
- 老後を含め、将来どのように人生設計するか?
上記のように公私の両面においてのプランを明確にしましょう。企業側としても、将来のビジョンを明確に描いている求職者の方を高く評価する傾向があります。
また、将来のビジョンや人生設計が応募する企業の方向性と合致しているか否かもとても重要なポイントです。
志望動機を明確にする
ビジョンや方向性を言語化して、「志望動機」として企業の採用担当者に伝えることも非常に重要です。ビジョンの合致は、転職者側だけではなく採用企業側にとっても重要であるためです。
志望動機においては、具体性が非常に大きな意味を持ちます。
こちらの記事にて志望動機の重要性について詳しく解説しているので、詳しく知りたい方はぜひ確認してください。
「40代転職の志望動機【例文付】|採用されるポイントは?」
40代求職者が厳しい転職活動を成功させるための転職方法
40代の求職者が厳しい転職を成功させるためには、適切な転職方法を選ぶことも重要です。なぜなら、大手総合転職サイトには40代の求人情報が充実していないことが多いためです。
この章では、具体的に以下の4つの転職媒体を解説します。
- ハローワーク
- ダイレクトリクルーティング
- ミドル・ハイエンド向け転職サイト
- 転職エージェント
ハローワーク
ハローワークには、40代以上の求人が多数登録されています。
40代の転職者にとってのハローワークのメリットは、以下の点です。
- 求人の母数が多い
- 地域の中小企業の求人が登録されている
一方で、以下の注意点もあります。
- 求人情報を掲載しているにも関わらず、あまり積極的に採用を希望していない企業もある
- 条件面ではあまり期待のできない求人が多い
ハローワークは無料で利用できるという点が、メリットにもデメリットにもつながっています。また、大手の総合求人サイトとは異なり、40代・50代・60代の利用者の割合も非常に多いです。
ダイレクトリクルーティング
アピールする実績や経験のある方にオススメの転職方法がダイレクトリクルーティングサービスです。ダイレクトリクルーティングとは、企業側から求職者に対してスカウトやヘッドハンティングなどのアプローチをする転職手法のことです。
ダイレクトリクルーティングを活用して採用するには、人材バンクやSNSなどにあらかじめプロフィールを詳しく登録し、企業からのアプローチを待つという手法を取ります。
ダイレクトリクルーティングには、以下のメリットがあります。
- 経験や実績を最大限に活かせる
- マネージャー層などハイエンドの求人が多い
ダイレクトリクルーティングのデメリットは以下の点です。
- スキルや経験が不足している場合は、スカウトが届かない
- 基本的には「待ち」の姿勢になる
特に経験や実績の豊富な40代の方は、タイミングや条件が合致すればダイレクトリクルーティングサイトを使用して最大限のメリットを得られる可能性があります。
ミドル向け・ハイクラス向け転職サイト
ミドル向け・ハイエンド向けの転職サイトもあります。
転職サイトごとに特徴や傾向はさまざまですが、「年収1,000万円以上」「管理職採用」など40代転職者の希望に合致する求人を探しやすいという特徴があります。
ミドル向け・ハイクラス向けの転職サイトのメリットは、以下のとおりです。
- 一般的な総合型転職サイトと比べて、ミスマッチが起こりにくい
- 好条件の求人が多い
一方で、ミドル向け・ハイクラス向けの転職サイトには、以下のデメリットもあります。
- 要求されるレベルが高い
- 応募や面接のスケジューリングなどをすべて自分自身で対応しなくてはならない
様々な業種の求人が幅広く登録されているため、全体の相場などを把握するために登録してもよいでしょう。
転職エージェント
転職エージェントは、求職者を企業とマッチングして、転職のサポートを行うサービスです。転職エージェントは、企業側と関係性を構築して、採用ニーズや展望などをあらかじめ詳しくリサーチしています。そして、求職者の特性やスキルを踏まえて求職者を企業に対して紹介したり、双方の連絡の架け橋となったりします。
転職エージェントを使用する場合のメリットは、以下の点です。
- 企業側の採用背景や将来の展望などの情報をキャリアコンサルタントから聞ける
- 希望に合った案件に絞り込んで紹介してもらえる
- プロのキャリアコンサルタントに、スキルや経験の棚卸しやキャリアパスについての相談を依頼できる
- 転職市場に公開されていない非公開求人を紹介してもらえる場合がある
ただし、転職エージェントを利用するうえでは、以下の点に注意する必要があります。
- 転職エージェントによっては、40代転職の求人が少ない
- キャリアコンサルタントによって当たり外れがある
ご自身の希望や状況にマッチした転職エージェントを選ぶことが重要です。
40代転職者は地域密着型求人に強いヒューレックスがオススメ
多くの40代の方にとって、転職は厳しいものです。採用には、マネジメントスキルを含めた高度なスキルと経験が必要とされるためです。さらに、スキルの要件を満たしたとしても、既存の社員との関係構築というハードルもあります。
だからこそ、40代転職者はご自身にあった転職方法を選ぶことが求められます。中でもオススメは、地域密着型転職エージェントのヒューレックスです。
ヒューレックスは、地域の企業と密接な関係を築いており、企業が求める人材や将来の展望などを把握した上で、転職のサポートを行っています。だからこそ、転職者のスキルや経験と企業とをピンポイントでマッチングさせることが可能です。
20代・30代とは異なり、慎重にならざるを得ない40代の転職では、表に出てこない数多くの求人の中から、ご自身に合う企業を見つけることが転職成功の鍵となります。転職を希望している40代の方は、ぜひお気軽に登録・相談してください。
この記事の監修
神谷 貴宏
愛知県出身。大手証券会社、半導体商社の営業を経て、総合人材サービス会社へ入社。 仙台支店での勤務後、大型派遣案件の企画から運用に従事。その後、会社の中核を担う“正社員”のサポートに携わりたいという思いが強くなり、ヒューレックスの設立に参画する。 17年余りにわたるコンサルタントの経験の中で3,000名を超える方々をサポート。個々人の”キャリア”だけでなく”価値観”を大切にしている。
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