転職エージェントとは?
転職エージェントとは転職希望者と求人募集をしている企業の間に入って、転職活動と人材採用をサポートするサービスです。
事前に企業から「どのようなスキル・経験を持った人材を探しているのか」「どれくらいの給与を提示できるのか」「仕事内容や待遇」などを聞き出し、求人情報として抱えます。
そして転職希望者に対しては希望条件や業務スキルを聞き出し、それらに見合った求人情報を提示します。さらに求人情報の選び方や入社までを総合的にサポートしてくれます。
転職エージェントの種類
転職エージェントは大きく分けて以下の3つの種類に分けられます。
- 総合型エージェント
- 専門特化型エージェント
- サーチ型エージェント
それぞれの特徴とともに具体的に見ていきましょう。
【転職になれていない人も活用できる】総合型エージェント
総合型の転職エージェントは企業の規模に限らず求人情報を保有しており、圧倒的な求人数を誇ります。いわゆる業界大手の転職エージェントの多くは総合型転職エージェントに分類されます。
企業の規模、業界、職種を限定せず網羅的に求人情報を保有しているため、転職市場に精通したスタッフが常駐しているのも特徴です。
大手企業ということもあり、総合型エージェントは数多くの転職希望者の転職活動をサポートしています。また、大小様々な企業のニーズを常に把握しており、業界・業種の動向も併せ持っています。
そうした豊富な実績とデータを転職希望者の経験、スキル、希望条件と比較することで、それぞれに最適なアドバイスを与えることが可能です。
転職になれておらず、「どのように転職活動をすればよいのか分からない」「自分の市場価値がどの程度か客観的に教えてほしい」「自分の希望条件に見合う企業へと転職するためにはどうすればよいのか分からない」という方でも安心して利用できるでしょう。
【希望条件が明確になっている人向け】専門特化型エージェント
専門特化型エージェントとは年代や業種、業界、地域など特定の分野に対して特化した転職エージェントです。例えば「web業界」「40代以上」「地方への転職」などの分野が挙げられます。
常駐しているスタッフも特定分野に詳しいため、総合型エージェントよりも踏み込んだ情報を提供してもらえるでしょう。
特定の分野に特化しているだけあって、自分の希望条件に適した求人と巡り合える可能性が高いのが特徴です。総合型エージェントや一般的な求人サイトでは見つけられなかったニッチな求人情報にも辿り着けるかもしれません。
一方で、総合型エージェントに比べて、専門特化型エージェントは保有する求人情報の数が少ない傾向にあります。そのため、他の業界や業種など分野をまたいだ求人情報の比較は困難になります。
また、専門特化型エージェントを活用するならば、あらかじめ自身の希望条件がある程度定まっている必要があるでしょう。希望条件が曖昧なまま専門特化型エージェントを利用しても、求人情報の比較検討を十分に行えないため、満足のいく転職をするのは難しくなります。
転職活動の時点である程度の希望条件が定まっており、特定の分野に関してさらに詳しい求人情報、業界情報を欲している方におすすめです。
【企業向けの転職エージェント】サーチ型エージェント
転職エージェントでは転職希望者の能力や希望条件をヒアリングし、それらに見合った求人情報を提案するのが一般的です。それに対してサーチ型エージェントでは、求人情報を出した企業へ向けて最適な人材を探し、提案します。
人材を探す方法は各サーチ型エージェントごとに異なり、SNSや業界紙、専門雑誌、webメディアなど様々な媒体で情報を集めて、適切な人材へアプローチを送ります。こうした方法からヘッドハンティング型エージェントなどとも呼ばれます。
サーチ型エージェントが扱う人材や求人情報は管理職以上が対象であり、給与面や勤務条件も優遇されています。そのため、サーチ型エージェントを活用すると、自分の能力を評価してくれる企業へと転職できるでしょう。
一方で、扱う求人情報が管理職以上を対象としたものに限定されているため、求人数は少なくなります。また、一般的な転職活動とは異なり、転職希望者自らがアピールするわけではありません。
このように求人情報を比較し、応募、面接を行うといった自らアクションを起こす通常の転職活動とは異なり、サーチ型エージェントを活用した転職はかなり特殊です。
たとえサーチ型エージェントを利用したいと思っても、声がかかるのを待つしかありません。
とはいえ、好待遇な条件で働けるというメリットは魅力的です。もし、サーチ型エージェントを活用して転職を行いたいという方は、目に見える形で実績を残すと良いでしょう。
転職エージェントの利用の7ステップ
転職エージェントには大きく分けて3つの種類があり、それぞれ独自の特徴を持っています。そのため、転職エージェントを活用して転職活動を行う場合は、自分に合った種類の転職エージェントを選ぶ必要があります。
しかし、初めて転職エージェントを活用する方、活用を検討している方からすれば、まだまだ分からないことばかりで不安を抱くかもしれません。ここでは転職エージェントを利用するに当たって、どのようにステップを踏めばよいのか、どの工程で何をするのかを紹介していきます。
ステップ1:登録する
転職エージェントを活用したいと考えているならば、まずは公式サイトにアクセスして自分の情報を登録することから始めましょう。個人プロフィールには自身の名前・生年月日・連絡先・学歴・職務経歴など転職活動に必要になる情報を書き込みます。
この中でも特に職務経歴は事細かに記載するようにしましょう。職務経歴は転職希望者のスキルや能力の証明になります。どれだけ細かく書けているかで、転職エージェントから紹介される求人情報も変わってきます。
また、プロフィールには転職先への希望条件も記載する場合があります。例えば、希望する業種・業界は何なのか、給与はどれくらいが良いのか、勤務地はどこが良いのかなどです。
転職エージェントでは転職希望者に最適な求人情報を提案してくれますが、転職希望者自身が転職先に求める条件を把握していなければ、転職エージェント側もどんな求人情報が最適なのか分かりません。
そのため、転職エージェントに登録する時点で自分の希望する条件は明確にしておきましょう。
登録された情報をもとに転職エージェントのスタッフと面談を行います。その際に細かい調整を行いますので、まずは自分の希望する条件を書き出すと良いでしょう。疑問や不安な点があればメモに残しておき、後の面談で質問するのがおすすめです。
ステップ2:求人情報の確認と面談の調整
登録が完了すると、入力したメールアドレスにエントリー完了のメールが届きます。その後、およそ1週間以内に転職エージェントから面談の日程について連絡が届きます。
連絡方法は転職エージェントによって異なりますが、基本的にはメールか電話のどちらかです。その際に、おおまかな転職に関する要望に答えた後、より詳しい話をするために面談の日程調整を行います。
転職活動を行う方の中には、平日の日中は仕事があるという方もたくさんいらっしゃいます。転職エージェントはそうした事情を考慮して、夜間も面接に対応している場合があります。また、土日の面談も了承してくれるエージェントもいますので、相手側と相談しながらスケジュール調整を行いましょう。
面接までの日程まで時間がある場合は、転職エージェントが公開している求人情報を確認しておくのがおすすめです。面談までに自分の希望条件を再確認しておくとともに、転職エージェントのスタッフに対してどのような求人情報が良いのか具体例を示すことが出来ます。
ステップ3:キャリア相談・面談
面談では、業界や職種など転職市場に精通したスタッフ(キャリアアドバイザーやキャリアコンサルタントと呼ばれる)と、現在の転職市場やあなたの職務経歴、希望条件、転職する理由について話し合います。
話し合いを通して転職エージェントスタッフはあなたの強みや弱みを客観的に整理していきます。転職を成功させるための面談ですので、緊張しすぎず疑問や不安などはどんどん質問していきましょう。例えば、今後のキャリア形成や自身の足りない能力、スキルについて聞いてみるのもおすすめです。転職エージェントスタッフはあなたの転職活動をサポートする味方ですので、必ず力になってくれます。
また、面談時間は基本的に1時間~2時間程度です。本人の希望条件が明確になっており、問題がなければ30分程度で終わることもあるそうです。しかし、企業や担当するスタッフによっても面談時間は異なるため、余裕をもって2時間は確保しておくと良いでしょう。
服装に関しても特別気にかける必要はありません。仕事帰りに面談をする方なら作業服のまま向かうこともあるようです。とはいえ、Tシャツにジーンズ、サンダルといった服装はカジュアル過ぎるため避けた方が無難です。男女ともに清潔感のあるオフィスカジュアルの服装であれば問題ありません。
ステップ4:求人紹介・選定
面談を通して方向性が明確になれば、求人紹介に移ります。転職エージェントが保有する非公開の求人情報からも提案されるでしょう。
総合型の転職エージェントでは膨大な数の求人情報を抱えているため、数十件単位で紹介されることも珍しくありません。一方、特化型の転職エージェントでは限られた求人情報の中から、あなたに沿うものを厳選して数件提案してくれます。
とはいえ、紹介された求人情報の中に満足できるものがなければ、きっぱりと断りましょう。転職市場は常に変化しているため、その時に良い求人情報が無かったとしても、新たな求人情報は増えていきます。そのため、最初に紹介された求人情報の中に良いものが無かったとしても気を落とす必要はありません。
自身の希望条件を満たした求人情報が入ってくるまで、焦らずじっくりと待つのも転職成功には重要です。
また、スタッフによっては求人への応募を催促する場合もあります。これは転職エージェント側の従業員への評価基準が「期間内に何人転職させたか」となっているからです。転職エージェントスタッフはより多くの人を転職させると自身の評価が上がるため、提案した求人への応募を催促してくるのです。
もちろん、こうしたスタッフばかりではなく、転職者のことを思って対応してくれる方もたくさんいます。もし、求人情報への応募を催促されたとしても、自身の意見をしっかりと伝え、自分のペースで転職活動を行いましょう。
ステップ5:応募・書類選考
自身の希望条件に合致する求人募集を見つけたら、必要な書類を作成して応募します。
書類を作成する際も、転職エージェントスタッフからアドバイスをもらうことが可能です。実際に添削をしてもらえるので、遠慮せずに相談してみると良いでしょう。
応募書類には何を書けばよいのか、どのようにアピールすればよいのかなど、面談を通して客観的に強みや弱みを把握している転職エージェントが親身に教えてくれます。
作成した書類をスタッフに提出すると、後の応募手続きは全て転職エージェント側が行ってくれます。書類選考は早ければ即日、平均的には1週間程度で結果が出ます。書類選考の結果についても転職エージェント経由で知らされるため、ゆっくりと待ちましょう。
ステップ6:面接・選考
書類選考を通過した場合、残るは面接です。面接の際もこれまでと同様、転職エージェントがあなたを手助けしてくれます。面接対策の他、模擬面接を実施してくれる場合もあります。
応募企業について知識のあるスタッフなら、面接の際どのような点に注目しているのか、人事担当はどういった人なのか、ということを教えてくれます。
たとえ面接の段階で落選してしまったとしても、転職エージェントが企業側へ評価を聞いてくれるサービスもあります。これにより、面接のフィードバックがもらえるため、次の面接へと生かすことが出来るでしょう。
また、書類選考を合格し、面接に進む段階へと移行したら、転職エージェントとの連絡はこまめに取りましょう。転職エージェントはあなたと企業の間に入って、面接の日程や時刻などを調整してくれます。この段階で返信や連絡が遅くなれば、それだけ転職エージェントや企業へ迷惑をかけてしまいます。
企業は応募者の細かい部分まで目を光らせています。面接時の喋り方や言葉遣い、返信の早さなどから普段の業務態度を連想させるため、些細なことでイメージを悪化させないよう努めましょう。
ステップ7:内定~入社
企業から内定をもらった後も、転職エージェントとのやり取りは続きます。内定をもらったことで安心し気が緩むかもしれませんが、最後まで丁寧に必要なやり取りを行いましょう。
あなたが企業から内定をもらった後、転職エージェントは企業と給与交渉を行ってくれます。具体的には企業の平均給与をもとに、可能な限りあなたの希望する給与水準まで近づけてくれます。
さらに、要望があれば退職についてもサポートを受けられます。上司から引き止められ、円満退職が難しい場合も、転職エージェントが間に入って、退職の交渉や関係者へのあいさつを済ませてくれるでしょう。他にも業務引継ぎに関してアドバイスをもらうことも出来るため、退職について不安な点があれば気軽に相談してみましょう。
転職エージェントを利用する4つのメリット
ここまで紹介してきたように、転職エージェントはあなたの転職活動を総合的にサポートしてくれるサービスです。そのため、転職エージェントを活用すれば最初から最後まで不安なく、転職活動に専念できるでしょう。
では最後に転職活動を行ううえで転職エージェントを活用するメリットを改めて紹介していきます。
キャリアのプロの支援が受けられる
転職エージェントを活用することで、キャリアのプロから必要な書類の書き方や面接対策などの転職に関するアドバイスをもらえます。もちろん人によっては身近に転職活動を経験した友人や先輩がおり、それぞれからアドバイスをもらえるかもしれません。
しかし、面接のポイントや履歴書の書き方といった細かい部分まで親身に教えてくれたり、時間を割いて模擬面接に付き合ってくれる人は少ないでしょう。実際の転職活動の現場ではこういった細かい部分も注目されており、気を抜くことは出来ません。
転職エージェントを活用すれば、ほんの些細なことであっても質問をすれば適切な回答をもらえます。さらに、自分では気づかなかった不備も指摘してもらえます。アドバイスや指摘も転職エージェントが保有する膨大な数の過去の実績や結果、データに即しているため信憑性の高いものばかりです。
そのため、転職エージェントを活用すれば、初めて転職活動を行う方であっても、他の転職希望者に見劣りすることはなくなります。
非公開求人を紹介してもらえる
企業が求人情報を各サイトに公開すると、多くの応募が殺到し、そのすべてに対して書類選考や面接を行わなければいけません。つまり、求人情報を公開してしまうと、人材確保に多くの時間が必要になるのです。
そこで、求人情報を転職エージェントのみに共有しておけば大幅な時間カットにつながります。転職エージェントは多くの転職希望者を相手にしており、その中から目ぼしい人だけに非公開求人を紹介します。これにより、ある程度応募者を限定した状態で人材採用を実施できるため、企業側の手間が大きく削減されるのです。
逆に非公開求人を紹介されたということは、転職エージェントから見て「企業に適した人材」として認められているということでもあります。そのため、非公開求人は他の求人情報と比べても、採用される確率が高まります。
このように転職エージェントを活用すれば、採用される可能性が高い非公開求人も提案してもらえるかもしれません。これは、転職希望者にとって大きなメリットと言えるでしょう。
条件を交渉してくれるケースもある
どれくらいの給与がもらえるかというのは会社員にとって非常に重要です。転職理由に「給与面で満足できなかったから」と答える人も少なくありません。とはいえ、自分を採用してくれる企業に対して給与面の話し合いをするのは気が引けますよね。
こうした転職者が言い出しにくい条件面の交渉も、転職エージェントが企業との間に入って代わりに行ってくれます。基本的に年収は内定が決まった際に提示されるため、年収にこだわりがある場合は、あらかじめ転職エージェントスタッフに相談しておきましょう。
転職エージェントスタッフは企業ともやり取りを行っており、年収テーブルや採用の理由なども把握しています。そのため、企業側の事情を考慮しながら、転職者の希望に沿うよう交渉を行います。
当然ながら、転職エージェントが交渉を行うからと言って必ずしも、転職者の希望通りの年収が実現するわけではありません。企業によっては年収の基準が役職・職種ごとに明確に定められることもあります。この場合、転職エージェントが交渉を行っても受け入れてもらえず、断られるケースもあるでしょう。
年収交渉が上手くいかなかったとしても、企業からの評価が低くなるわけでもありません。そのため、要望があるならば早めに転職エージェントスタッフに伝えるようにしましょう。
転職活動の負担が減る
もし一人で一から転職活動を行おうとすると、ここまで紹介してきた転職エージェントが代行してくれることもすべて自分で行わなければいけません。例えば、求人サイトや企業の公式サイトなど、膨大な数の求人募集から自分の希望条件に満たした企業を見つける必要があります。
また、内定が決まった後も、相手企業との入社日の取り決めや円満退職の準備、上司や関係者への報告も済ませなければならず、前もって準備しなければ慌ただしくなります。
仕事をしている人であれば、普段の仕事と平行しながらこれらの負担を強いられます。複数回転職を経験しており、慣れている人ならばミスなくこれらをこなせるかもしれませんが、初めて転職活動を行う人にとっては難しいかもしれません。
転職エージェントを活用するだけで、これらの負担が軽減されるため、転職経験が少ない人や日々の業務に忙しい人ほど恩恵を感じられるでしょう。
転職エージェントを活用して効率的に転職しよう
転職エージェントは求人情報の紹介や書類作成の方法、給与面の交渉まで、総合的にあなたの転職活動をサポートします。転職エージェントにも多くの企業が存在しており、それぞれが独自の特徴を持っています。
自分の希望条件に適した転職エージェントを活用することで、より理想的な転職を実現できるでしょう。ヒューレックスは地方の転職活動に強い転職エージェントです。地方での転職を考えている方は、ぜひヒューレックスにご相談ください。
この記事の監修
神谷 貴宏
愛知県出身。大手証券会社、半導体商社の営業を経て、総合人材サービス会社へ入社。 仙台支店での勤務後、大型派遣案件の企画から運用に従事。その後、会社の中核を担う“正社員”のサポートに携わりたいという思いが強くなり、ヒューレックスの設立に参画する。 17年余りにわたるコンサルタントの経験の中で3,000名を超える方々をサポート。個々人の”キャリア”だけでなく”価値観”を大切にしている。
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