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地方転職が難しい理由1:求人数が少ない
地方転職が難しい最大の理由の1つとして、求人が都心部と比べるととても少ないことが挙げられます。その例として2019年度の都道府県別の正社員有効求人数が最も多かった東京都とその他の地方の求人数を比較しました。
■2019年度 東京都と地方の有効求人数比較(正社員)
都道府県 | 有効求人数 | 東京都との比率 |
---|---|---|
東京都 | 1,892,848件 | 100% |
鳥取県 | 79,457件 | 4% |
山梨県 | 78,812件 | 4% |
高知県 | 75,703件 | 4% |
徳島県 | 97,589件 | 5% |
島根県 | 97,266件 | 5% |
和歌山県 | 85,605件 | 5% |
佐賀県 | 100,606件 | 5% |
参考:一般職業紹介状況|厚生労働省
上記の資料から、東京都の求人数(189万2848人)と比較すると、鳥取県の有効求人数は7万9457件 とたった4%しかないことが読み解けます。求人数が少ないということは、希望する職種や業種の母数も少なくなるため、転職難易度が上がってしまう可能性が高くなります。
絶対的な企業数が東京都や大阪府などの都市部と比べると少なく、採用の主な目的が増員よりも欠員補充である会社が多いことが求人数に差を生まれる大きな原因と考えられます。
地方転職の成功ポイント1:求人数が少なくても求人倍率は高い!
東京都と比べると圧倒的に求人数が少ない地域が多いですが、転職を成功させることが不可能ではありません。その理由の1つが求人数と求職者数の比率を示す「有効求人倍率」です。倍率が高くなるほど、求職者に対して求人数が多くなるので仕事が見つけやすくなる傾向があります。
2021年2月の鳥取県の有効求人倍率は1.26倍と東京都の1.19倍を上回っています。また、香川県の1.38倍、福井県の1.55倍など、東京都よりも有効求人倍率が高いので仕事を見つけやすいことが分かります。全国平均である1.09倍を上回っているのは29都府県あります。求人数が少ないなかでも、地域の特色に合わせて正しく転職活動を行えば、希望する地方でも転職を成功できるチャンスはあるといえるでしょう。
参考:職業紹介-都道府県別有効求人倍率|独立行政法人労働制作研究・研修機構
地方転職が難しい理由2:収入が少なめ
地方に転職すると前職よりも年収が低くなってしまうことから、UIターン転職を迷う人もいます。実際、各都道府県の平均年収を比較すると1位東京都(620.4万円)、2位神奈川県(560.2万円)、3位愛知県544.8万円と上位は都市部が占めています。また、ワースト3である45位の宮崎県(379.1万円)、46位沖縄県(377.3万円)、47位青森県(371.0万円)とは200万円以上の差が生じていることが明らかになります。
さらに株式会社リクルートの調査によると、関東地方の地域別平均は523万円であり、北海道・東北の413万円、九州の410万円と首都圏と年収でも大きな開きがあることが明らかになっています。その差は年代を経るにしたがって広がり、40代のソフトウェア関連企業では関東地方では700万円超なのに対し、北信越や北海道・東北地方では550万円未満となっています。
このため、給与や待遇を重視している人ほど、賃金ベースが高い地域から、低い地域の企業への転職に二の足を踏んでしまうケースは少なくありません。
参考:都心vs地方の最大格差は2割!地域別年収差を徹底比較|株式会社リクルート
地方転職の成功ポイント2:生活費とのバランスを考えた条件を設定する
単純に収入の額面だけを比較すると地方が少なくなることが多いですが、都心と比べると地方は物価や地価が安いことを忘れてはいけません。地方と都心部の物価を比較するための指標はいくつかありますが、そのなかでも特に有名な「消費者物価指数(2020年)」を参考にしてみましょう。全国平均を100とすると東京都の指数は104.4とトップでした。一方、最も低い宮崎県は96.0と8ポイント以上の差があることが分かります。
■消費者物価指数に含まれる10大品目
- 食料
- 住居
- 衣服 及び履物
- 交通、通信
- 教養、娯楽
- 光熱、水道
- 教育
- 諸雑費
※出典:東京の物価 -東京都区部消費者物価指数-|東京都
■都道府県別消費者物価地域差指数の低い(物価の安い)地域
順位 | 都道府県名 |
---|---|
1位 | 宮崎県 |
2位 | 鹿児島県 |
3位 | 群馬県 |
4位 | 福岡県 |
5位 | 岐阜県 |
6位 | 佐賀県 |
7位 | 奈良県 |
8位 | 岡山県 |
9位 | 愛知県 |
10位 | 愛知県 |
上記の10大品目のどれが安いかはそれぞれの地域によって異なるものの、全国のうち39都道府県は全国平均以下なので、いずれかの生活費は下がりやすいと考えられます。安い家賃で広い部屋に住めたり、外食代などの支出が減ったりと、収入と支出のバランスが無理なく生活できるケースも多くあります。
地方転職が難しい理由3:利便性などの条件が厳しい
UIターン転職は、仕事だけでなく住居もその地域に移して働くことが一般的です。地方では都心部ほど公共交通機関が充実していないため、通退勤に時間がかかることも考えられます。また、都心部では不要だった車が必要になるなど、これまでの生活環境を大きく変えなければならないこともあります。
さらに新居選びも転職先の場所を中心に考える必要があります。
地方転職の成功ポイント3:転職理由から考えると利便性は気にならないことも
都市部と比べると、交通の便は乏しい傾向がある地方ですが、子育てや介護といった面では優れていることも多いです。2020年9月に厚生労働省が発表した「令和元年 10 月時点の保育所等の待機児童数の状況について」によると、東京都の待機児童数は8,053人に対して、青森県、富山県、石川県、山梨県などの複数の地方自治体の待機児童は0人と非常に大きな差があることが明らかになっています。
また、電通の発表によるとUターン移住のきっかけとして「両親が高齢になったこと/病気になったから」といった理由が2番目に多いことから、親の近くで介護ができる環境も当然、都市部より地方の方が整っていると考えられます。
このように、自身がUIターンする理由や家族構成などと照らし合わせると、通勤のしやすさ以上に私生活と仕事の両方にとって良い条件が揃う可能性もあります。
参考:令和元年 10 月時点の保育所等の待機児童数の状況について |厚生労働省
参考:全国 U ターン移住実態調査|電通株式会社
地方転職が難しい理由4:負担が多く転職活動が難しい
地方転職するときも、通常の転職と同じように複数回の面接が必要なケースがほとんどです。遠方の場合、その移動時間と交通費だけでも大きな負担になりますし、在職中の人であれば時間の確保も簡単ではありません。
さらに転職先探しも、地方は都心部よりも難易度が高いことが多いです。地域によっては大手転職サイトであっても求人がほとんど掲載されていないことも珍しくありません。また、転職エージェントのような便利なサービスも求人数が少ないこともあり、ハローワークなどで地道に探すしかないケースもあります。
このような負担が地方転職を阻む大きな障壁といえるでしょう。
地方転職の成功ポイント4:地元に特化した転職エージェントを活用する
UIターン転職を成功させるには、自分一人の力ではなく転職エージェントを頼ることも有効な手段の1つです。 それも、その地域に特化した転職サービスを行っている人材紹介会社を利用することが大切です。そのなかでも特に地方に太いパイプがあり、都心部からでも円滑に転職活動をサポートしてくれる転職エージェントを活用することで、地方転職の負担を大きく軽減できるだけでなく、成功率も高めることができます。
地方転職のタイミングとメリット
ここまで、地方転職の厳しい点と、転職する際の注意点について解説しました。それでも地方転職とUIターン移住の魅力はとても高く、電通の「全国 U ターン移住実態調査」 によると生活満足度は移住前(在京)の生活満足度が27.7%に対し、移住した後は48.2%と非常に高まっていることが明らかになっています。
参考:全国 U ターン移住実態調査|電通株式会社
また、仕事や給料などの不安も移住後は低下しています。これらの結果は先ほど紹介した厳しい点をしっかりと対策すれば、地方転職は成功できることを裏付けています。さらにその過半数が「地方移住を思い立って半年以内に踏み切っている」という結果も出ていることから、早めに行動を起こすことが地方転職を成功させる最初のポイントといえるでしょう。
地方転職を成功させるための仕事探しの方法
前述のとおり、地方転職を成功させるためには仕事探しの方法がとても大切です。人生を左右する決断になので、検討すべき転職方法である「転職エージェントの活用」、「転職サイト・ハローワーク」、「コネクション、紹介」についてさらに掘り下げて紹介します。
転職エージェントの利用が最もおすすめ
結論から述べると、地方転職を成功させるにはエージェントの利用が最もおすすめです。移住先の企業や経済事情に詳しいプロの支援を受けられれば、希望の条件に合致した仕事はもちろん、生活環境や物価・地価などのアドバイスなどももらうことができます。さらに応募企業に推薦してもらうことで、転職活動を円滑に進められることも出来ますし、面接のサポートなどの支援も受けられるケースもあります。
転職サイト、ハローワークの活用のポイント
インターネットで転職サイトやハローワークに掲載された求人を確認して応募することも、地方の転職先を探すうえでは有効な手段です。ただし、エージェントサービスと比べると企業の情報量などが少ないため、面接もしくは入社後にギャップを感じてしまわないように「インターネットで企業の評判を調べる」といった自発的な企業研究を行うことをおすすめします。Uターン転職する際は、地元の知人や親などにその企業の評判を確認してみても良いでしょう。
コネやつながりも大切
地方によっては、資金面などの理由で大規模な求人広告を利用せず「紹介」を通じて採用を行っている企業も少なくありません。その場合は、自身のスキルや経験などに加えて移住先の人との関係性も転職活動に大きな影響を与えることがあります。
また、転職する本人と企業と地方の企業とのつながりがなくても、転職を支援する企業やスタッフが地方企業との結びつきが強ければ、転職者もそのメリットを受けられる可能性が高まります。そのような意味でも地方の企業とつながりを持つ転職エージェントを利用するメリットが大きいのです。
地方転職ならエージェントの利用がおすすめ
地方転職の実情と、成功するための秘訣、さらに地方転職のメリットについて解説しました。地方転職は、移住という人生でも大きな分岐点でもあるため「早めの行動」と「入念な準備」さらに「転職サービスの利用」が大切です。
ヒューレックスは、全国でも珍しい「地方に特化した転職エージェントサービス」を展開している人材紹介会社です。全国47都道府県に展開し、専任のコンサルタントが密着して支援を行っています。また、大手転職エージェントには掲載されない地元ならではの求人を取り扱っているほか、地方転職の成功を支援した経験、ノウハウを蓄積しているため、様々なアドバイスも積極的に行っております。
地方転職を考えている方、情報収集している方はぜひ一度、ヒューレックスにご相談ください。
この記事の監修
神谷 貴宏
愛知県出身。大手証券会社、半導体商社の営業を経て、総合人材サービス会社へ入社。 仙台支店での勤務後、大型派遣案件の企画から運用に従事。その後、会社の中核を担う“正社員”のサポートに携わりたいという思いが強くなり、ヒューレックスの設立に参画する。 17年余りにわたるコンサルタントの経験の中で3,000名を超える方々をサポート。個々人の”キャリア”だけでなく”価値観”を大切にしている。
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