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UIターン希望のエンジニアが増えている理由とは
経済産業省が作成した「経済センサス‐基礎調査 事業所に関する集計」によると2014年時点では、プログラマーなどのITエンジニアが働く地域は首都圏が中心でした。しかし、2020年に総務省が「地方自治体のデジタルトランスフォーメーション推進に係る検討会」を立ち上げるなど、首都圏以外でもエンジニアの需要が高まりつつあります。
加えて、近年は地方でもインターネット環境が整ったほか、クラウドサービスの発展により、エンジニアが場所を選ばずに働ける環境が整備されつつあります。このように地方への転職障壁が低くなるなか、以下のような地方で働く 魅力に惹かれて転職を希望するエンジニアが増えつつあるのです。
- 生活の質が向上する
- より貴重な人材になれる
- 地方ならではのプロジェクトに参画しやすい
- 裁量や責任が大きい仕事を任せられる可能性が高い
それぞれの理由を詳しく解説してきましょう。
生活の質が向上する
UIターンを希望するエンジニアが増えている一番の理由しては、生活の質が向上することが挙げられます。例えば、都心部では毎日の満員電車の通勤で、ストレスを感じている方は多いですよね。
地方では、車通勤になる場合も多いですが、都市圏のような通勤にストレスを抱えることが少なくなるでしょう。さらに 、地方のメリットとして、生活費が安いことがあげられます。
実際に、東京都新宿区 の1 LDKの家賃相場は約26 万円 なのに対し、愛媛県松山市 の1LDKの家賃相場は5.9 万円 程度。 居住費だけでも15万円以上、節約できる可能性がある上 に食費も安いです。そのため、地方でエンジニアとして働くことで、生活に余裕をもって過ごすことができるでしょう。
より貴重な人材になれる
一般的に地方よりも都市圏の方が、より高度な技術が求められることが多いです。そのため都市圏で働いていたエンジニアの場合は、地方でその経験とスキルが重宝される可能性があります。
また、地方では慢性的にエンジニアが不足している傾向があります。そのため、都市圏での採用とは異なり、貴重な人材として扱われやすいのです。
地方ならではのプロジェクトに参画しやすい
UIターンするエンジニアは、地方ならではのプロジェクトに参加できる可能性もあります。例えば、地方の魅力を発信するためのアプリ開発や住民が利用しやすいWebシステムの構築など、より地方住民の生活に特化したサービスに携われるかもしれません。
ちなみに、地方で需要の高いプログラミング言語はJavaです。Javaは、大規模なシステム開発やAndroid用アプリ、Webアプリケーションなど、汎用性に富んだ言語です。そのため、地方においてもJavaを用いたプロジェクト案件が多いことが予想されます。
裁量や責任が大きい仕事を任せられる可能性が高い
地方のエンジニアは、 裁量や責任の大きい仕事を任せられることが多いです。都市圏では、システムの担当やコーディング担当、企画担当など、一つの開発に多くのエンジニアが関わります。
しかし、地方では企業に在籍するエンジニア数は少なく、エンジニア一人が担当する仕事の幅が大きくなりがちです。エンジニア一人の役割が増えて一見大変そうですが、営業・企画から開発・納品までの工程に関わることができる可能性があります。
また、開発メンバーが少ないため、プロジェクトマネージャーといった全体を統括する立場で仕事することもあるでしょう。このように、地方のエンジニアは裁量や責任の大きい仕事を任せられる可能性が高いので、都市圏のエンジニアよりもやりがいを持って働くことができます。
リモートワークと地方転職のメリット・デメリット
UIターンで地方エンジニアとして活躍するには、以下の2つの働き方があります。
- リモートワークができる会社に転職する
- 地方転職をする
それぞれの働き方のメリット・デメリットを解説します。
リモートワークできる会社への転職
リモートワークができる会社へ転職するメリット・デメリットはそれぞれ2つあります。
メリット1:通勤時間がなくなる
リモートワークでは、通勤時間がありません。満員電車に揺られることなく、ノンストレスでパソコンの画面からすぐに仕事を始めることができます。また、移動時間を他の作業に当てることができるため、より仕事に専念することが可能です。
メリット2:育児や介護と両立しやすい
出社すると、8時間程度の拘束時間があります。介護や育児で出社が難しくても、リモートワークであれば、仕事の合間を見て家族へのサポートが可能です。
デメリット1:コミュニケーションが取りにくい
一方で、リモートワークにもデメリットがあります。よくあるデメリットとして、社員同士のコミュニケーションが希薄になることがあげられます。リモートワークだと、コミュニケーション手段が必然的にチャットで行うことが多いです。
ただし、エンジニア職はチャットでやりとりすることが日常的なので、そこまで問題にはならないでしょう。
デメリット2:仕事に集中しにくい
リモートワークは、仕事とプライベートを両立しやすいメリットがありますが、ある程度の自己管理能力がなければ、仕事に専念しにくい可能性があります。例えば、家庭内に子どもがいる場合、子供の声が気になって 、仕事に集中できないケースも少なくありません。そのため、仕事に一定時間集中できる環境を整えたり、自分でルールを課したりなど、工夫が必要です。
地方転職
地方転職をするメリット・デメリットをそれぞれ1つ紹介します。
メリット:ストレスが少なく生活できる
都市部よりは自然の多い環境で、のびのび生活することができる可能性があります。また、居住費や食費などの生活で出ていくお金も少ないため、経済的にも余裕をもって過ごすことができるでしょう。
デメリット:年収が下がる可能性がある
地方のエンジニアの場合は、都市部と比べて年収が下がってしまうことが多いです。都市部で高報酬で仕事をしてきたエンジニアからすると、同じ労力なのに報酬が安いと、不満に感じるかもしれません。 ただし、 地方に移住すれば生活費そのものが安くなるので、年収が多少下がっても生活水準が下がることは少ないでしょう。
エンジニアが地方への転職活動をする際の注意点
エンジニアが地方転職活動をする際に、気をつけるべき注意点は、以下の4つです。
- 都市部に比べて 求人数が少ない
- ITリテラシーが低い顧客や 職場に当たる 可能性がある
- スキルアップできる環境は都市部ほど整っていない
- 人間関係が密接な職場もある
それでは、それぞれの注意点を解説します。
都市部と比べると求人数が少ない
地方だと都市部と比べて求人数が少なくなります。すると当然、転職の選択肢が少なくなるため、希望にあった求人に出会える可能性も低くなります。
※ヒューレックスは、地方転職に強い転職エージェントです。地方へのエンジニア転職ならお気軽にご相談ください。大手では取り扱っていない優良求人をご紹介します。
ITリテラシーが低い顧客や 職場に当たる 可能性がある
企業によって差異があるものの、都市部に比べると地方はITリテラシーが低い顧客や職場に遭遇する可能性が高くなります。例えば、ITリテラシーが低い顧客は、メールやチャット、Zoom会議など、インターネットを駆使したコミュニケーションツールを積極的に活用しない職場もあるでしょう。
そのため、FAXや電話、直接会って 打ち合わせなど、非効率的なやり取りが多くなりがちです。また、顧客だけでなく、職場内でもITリテラシーの低さを感じる機会があるかもしれません。
例えば、社内のIDやパスワードの管理がずさんだったり、開発フローが決まっておらず、 効率よく業務を回せなかったりする可能性もあります。安全で効率的な業務を当たり前としていたITリテラシーの高いエンジニアにとっては、ストレスを感じる場面があるかもしれません。
人間関係が密接な職場もある
地方で働く場合は、良くも悪くも人間関係が密接な場合が多いです。「プライベートと仕事は切り分けたい」、「会社の人とは程よい距離感でいたい」 と考える人にとっては、人間関係の密接な職場は少し息苦しく感じることがあるかもしれません。
しかし、プライベートを同僚と過ごすことに抵抗感を感じず、人間関係を構築するのが好きな人には、楽しい職場になるでしょう。また、適度な距離感で気持ちよく働くことができる職場もあるに違いありません。
スキルアップできる環境が都市部ほど整っていない
地方では、都市部のように頻繁にエンジニアのための勉強会やセミナーが開催されることは、それほど多くありません。しかし、 オンラインサロンやオンラインセミナーなど、インターネットを駆使して勉強することは可能です。自分から最新の知識やノウハウを勉強する意欲のある方にとっては、そこまでデメリットに感じないでしょう。
地方の転職先の探し方
地方での転職先を探すには、いくつか方法がありますが、代表的な仕事の探し方は以下の4つです。
- 転職サイト
- ハローワーク
- 人脈、コネ
- 転職エージェント
それでは、それぞれの転職先の探し方とメリット・デメリットを確認しましょう。
転職サイト
転職サイトを利用するメリット・デメリットはそれぞれ2つあります。
メリット1:いつでも求人を検索できる
スマホから会員登録すれば、いつでもどこからでも求人を探すことができます。忙しいエンジニアでも、スキマ時間で探すことが可能です。
メリット2:未公開求人に応募できる
転職サイトに登録すれば、未公開求人に巡り合える可能性があります。転職サイトによっては、他のサイトでは取り扱っていない限定公開の求人もあるのです。
あなたの希望や条件にあった優良企業へ就職できる可能性があるでしょう。ちなみに、転職サイトの多くでは、応募から内定まで 相談・サポートをしてくれます。
デメリット1:たくさんあって選べない
転職サイトの数が多すぎると、どのサイトにすればよいのか迷ってしまう可能性があります。一般的に、転職成功者は平均で3〜4社の転職サイト に登録していると言われています。
たくさんあって、どの転職サイトにすればよいのか迷うかもしれませんが、複数の転職サイトを登録しておくことで、相性の良い担当者がいる転職サイトを選びやすくなるでしょう。
デメリット2:転職サイトとのやり取りが大変
場合によっては、転職サイトの電話やメールのやり取りが負担になることもあります。特に、複数の転職サイトを登録していた場合は、転職サイト側とやり取りするだけで疲れてしまうかもしれません。
ハローワーク
ハローワークを利用するメリット・デメリットはそれぞれ1つずつ紹介します。
メリット:求人数が多い
ハローワークは無料で求人を掲載することができるので、転職サイトよりも多くの求人を見つけることができます。
デメリット:サポートが少ない
ハローワークでも職業面談をしてくれますが、職種に特化したアドバイザーが常にいるわけではありません。その点、エンジニア特化型の転職サイトや転職エージェントであれば、エンジニア就職のためのより効果的なアドバイスをもらえる可能性があるでしょう。
人脈、コネ
人脈、コネを利用するメリット・デメリットはそれぞれ1つずつ紹介します。
メリット:内定までに苦労しない
人脈、コネを利用するメリットは、内定までに苦労しないことです。人脈やコネがあれば、就職活動をする必要がないので、知り合いの紹介ということで、比較的早く内定をもらうことが期待できます。
デメリット:内定辞退の連絡がしづらい
内定を辞退したり、入社後にイメージが違くて退職したりするのが、やりにくくなる可能性があります。コネで入社したにも関わらず退職してしまったら、紹介者に悪影響が及ぶ可能性もあります。
転職エージェントを利用する
自分で探す手間を省きつつ、希望条件にマッチするエンジニアの求人案件を見つけるたいのであれば「転職エージェント」がおすすめです。
メリット:エージェントやコンサルタントのサポートが受けられる
転職サイト、ハローワーク、コネなどは基本的に、エンジニア自身のみで転職活動を行わなければなりません。そのため、面接のスケジュールが合わないほか、企業を探す時間が確保できずに転職活動が長期化する恐れがあります。
転職エージェントは、コンサルタントが転職条件やスキルなどに適した求人を紹介してくれるほか、スケジューリングや交渉なども行ってくれるので、より負担を少なく転職活動できるのが大きなメリットです。
デメリット:地方に強い転職エージェントが少ない
大手の転職エージェントなどは基本的に首都圏や都市部の案件が多く、地方のエンジニアの案件は転職サイトやハローワークよりも少ない傾向があります。そのため、転職エージェントを利用するのであれば、地方の企業とのつながりが強く、求人数も多いサービスに登録する必要があります。
転職エージェントの活用がエンジニアが地方転職を成功させるカギ
ここまで、エンジニアが地方転職するメリットや注意点などを詳しく解説しました。生活の質の向上を求めて、地方で働くエンジニアの方が増えてきています。
一方で、地方で働く際のデメリットもありますので、慎重な転職活動が必要です。はじめてのエンジニアの地方転職を考えると、「自分は地方転職して本当に大丈夫なのか?」と不安ですよね。
ヒューレックスは地方転職に詳しいコンサルタントが在籍。あなたの希望エリアの転職市場やエンジニア募集求人の状況をお伝えできます。
この記事の監修
須賀川 敏哉
神奈川県出身。早稲田大学卒業後、大手証券会社に入社。人材業界では、通算20年以上のキャリア。10年間の証券営業を通じ、経済や景気動向、企業動向の見方を養う。 大手総合人材サービス会社では、首都圏拠点立ち上げ、新宿・丸の内支店長、金融・外資部長、東京本社エリアディレクターを歴任。 ヒューレックスでは、転職支援を中心に、コンサルタントとして幅広い職種と年齢層に対応。
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