地方で働くことのメリットと東京で働くことの意味とは?

東京での働き方と地方での働き方は、それぞれメリット・デメリットがあります。地方で東京での働き方をそのまま実践しようとしても、うまくいかないことも。もちろん、地方での働き方を東京でしようとする場合も同様です。

しかし、就職以来東京もしくは地方のどちらか一方のみで働いてきた方にとっては、その違いがイメージしづらいのではないでしょうか?この記事では、U・Iターンでの地方転職を検討している方に向けて、東京と地方との働き方の違いを解説します。

地方で働くメリット

地方で働くことは、東京で働く場合とは異なるメリットがあります。地方で働くメリットを理解することにより、地方での働き方に関しても具体的なイメージをつかみやすくなります。この章では、地方で働くメリットについて4つの観点から解説します。

地域や人との関わり合いが強い

地方と東京では人と人との関わり方が大きく異なります。例えば、東京ではマンションの隣室住民と挨拶さえしないような関係性も珍しくありませんが、地方では同じ街の住民というだけで家族の一員のように扱われることもあります。

地域性にもよりますが、一般的に田舎であればあるほど地域や人との関わりは強くなります。関わりがとても強いために、困った時に手助けをしてくれたり、個人的な話を一生懸命聞いてくれたりする場面もあるでしょう

満員電車や交通渋滞のストレスが軽減される

東京都内で働く会社員の内、約85%が日常的に満員電車を利用しています。そして、始業前に、満員電車による他人との密着・音や匂い・窮屈な姿勢などを強いられるのは、非常に強いストレスです。

一方、地方では満員電車での通勤の可能性はかなり低く、自動車通勤をする会社員の割合が高くなります。2010年の国勢調査によると、東京の自動車通勤率がわずかに9.55%であるのに対して、自動車通勤率上位の県は富山県77.34%、山形県77.26%、福井県75.35%と違いは明らかです。

生活コストが安い

地方都市では、以下の物価が安くなります。

  • マンション・アパートの賃料や住宅購入費用
  • 駐車場代金
  • 日用品価格
  • 飲食店などでの食費

自家用車の購入費用やガソリン代など、地方だからこそかかるコストもありますが、一般的には地方で生活をした方がトータルコストを抑えられます。逆にいえば、地方で東京と同じ収入を得られれば生活に余裕を持てたり、あるいは将来設計のために貯蓄を増やしたりできます。

中心メンバーとして仕事をできる可能性が高い

東京では、プロジェクトチームの一員として限られた仕事をしていた方も、地方の中小企業に入社するとプロジェクトのリーダーや主要メンバーとしての活躍が期待されます。なぜなら、地方都市の企業は、小規模・少数精鋭の体制をとる企業が多いためです。

したがって、ご自身が事業の中心メンバーとなって活躍したい方にとっては、地方企業に働くことによって理想的なフィールドを得られる可能性があります。

落ち着いた環境で育児できる

地方は、子育ての環境としても理想的な場合があります。具体例をいくつか紹介します。

【地方は、東京よりも待機児童の数が少ない】
2020年のデータによると、東京の待機児童の数は2,343名で全国トップ。

【地方は、東京よりも交通事故の可能性が低い】
警視庁交通局の統計資料によると、2020年において交通事故の発生件数は1位東京・2位大阪・3位愛知。

【地方は東京よりも緑が多い】
農林水産省林野庁の「都道府県別都道府県別 森林率・人工林率」によると、森林率の全国平均67%に対して、東京は36%。

これらのメリットをうまく活用することで、地方では健康的でのびのびとした育児・教育を楽しめます。また、保育園に子どもを預けて夫婦で共働きをするなど、育児のしやすさを活かしたライフスタイルを設計することもできます。

東京で働くメリットはだんだん小さくなっている!?

地方で働くメリットがあるように、東京で働くメリットもたくさんありました。従来から東京には、憧れや華やかさのイメージを持つ方も少なくありませんが、この章では東京で働くことのメリットを具体的に解説します。
また、コロナ禍や働き方改革推進などにより働き方の多様化が推進される中で、東京で働くメリットは小さくなりつつあります。

この章では、東京で働くことの現状を踏まえながら、どのようにメリットが薄れてきているのかについて見ていきましょう。

平均賃金が高い

東京都で仕事をする場合は、地方で働くよりも給与を多く得られる可能性があります。厚生労働省が発表している平均給与や、スタッフ雇用時の最低賃金のデータからも、東京の方がほかの地域によりも東京都の平均賃金が高いことは明らかです。

平均月給(現金給与総額) 最低賃金
東京 466,643円 1,041円
全国平均 355,223円 930円

参照:厚生労働省「労働統計年報 平成21年」
厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」

ただし、これらはあくまでも平均値としてのデータです。地方企業でも東京の企業と同程度の給与を得ている会社員も決して少なくはありません。

また、かつて存在したようなマスコミ系や大手企業の基幹職などの東京でしかできない仕事は確実に減少しています。例えば、IT関連の業務はかつては企業が東京に集中していましたが、現在はオンラインで仕事を完結させられます。経理業務や人事業務は、仕事の一部をオンラインや経理代行などのアウトソーシング企業にて対応できるようになりました。

そして、東京企業の仕事を地方で受注して請け負う場合は、東京の水準で給与や報酬を受け取ることができます。

市場規模が大きい

東京での企業間取引では、日常生活では通常目にすることのないような大きな契約が締結されることも珍しくありません。さらに、東京都内には似た志をもった仲間が社内外に見つかりやすいという面もあります。大手企業を相手に高額な取引を締結させることに魅力を感じる方にとって、東京の仕事は非常に夢があふれるものででしょう。

しかしながら、地方にいてもWebツールの使用により東京のクライアントや同僚とリアルタイムで一緒に仕事をできるケースも増えてきました。また、BtoBの高額商品でもオンラインのみで商談が締結されることは珍しくなくなっています。

以上の点から、必ずしも東京でなければスケール感の大きな仕事ができないという状況は、変化しつつあります。

仕事の種類・量が豊富

業界や職種によっては、求人が東京に集中している場合があります。典型的な例をいくつか紹介します。

  • TV・新聞・雑誌などのマスコミ系
  • 最新の科学技術を用いたベンチャー系
  • 大手企業本社の人事・総務などの基幹職系
  • 研究・開発職
  • 輸入・貿易などの国際的な業務

また、企業数や求職者数が多いため、一つひとつの職種に対して求人数が多いという特徴もあります。

これらの東京に求人が集中しがちな職業・職種に関しても、メディアの多様化や地方ベンチャー創出の動き・働き方の多様化などにより、地方での求人が増えつつあります。また、東京で仕事を探す場合にはライバルの求職者が多いことも理解しておく必要があります。

プライベートを充実させられる

趣味や関心によっては、東京近郊に住むことでプライベートが充実することがあります。

  • 大型のイベントや趣味の集まりなどは東京近郊で開催されることが多い
  • 美術館・博物館・ショッピングセンター・飲食店なども東京に立地することが多い
  • 趣味の仲間同士で集まりたいときにも都市部の方が人数が揃いやすい

上記の理由により、東京はプライベートを充実させるために非常に便利な場所です。

しかし、地方在住の場合にはこれらを楽しむのが難しいのかといわれると、必ずしもそうとは言えません。地方は東京よりも賃料相場が安いため、差額を利用してイベント時のみ東京などの大都市に移動する方が、コストを抑えられることもあるためです。

また、ショッピングについては、東京まで買い物に出かけなくてもオンラインで済ませられるものが増えています。

地方で働く際に意識すべき東京との違い

地方で働くことのメリットを最大限に活かすためには、あらかじめ意識しておくべきポイントがあります。違いを理解した上で、地方でのキャリアをスタートさせないと、理想とのギャップや後悔が生じる可能性もあります。この章では、4つの観点から地方と東京都の違いについて解説します。

独自のビジネススタイルや人間関係

地方では、東京とは異なるビジネススタイルや人間関係の築き方が重視されていることがあります。例えば、接待・飲み会・地方ならではの価値観などです。場合によっては、「インターネットツール=難しい」「地域内で特に強い影響力をもつ団体が存在する」などの偏見や特殊な事情が存在することもあります。基本的に、入社前までにご自身がどのような役割を持ってその会社に入社するのかを明確にすることで、これらの地方独自の習慣によって仕事がしづらくなる状況は避けられますが、働き方に直結するので常に頭の片隅に入れておく必要があります。

職のポジションの少なさ

マーケットの小さな地方では、同業種・同職種のポジションが少ないことも珍しくありません。転職時に条件が合致すれば長く勤められる可能性が高い一方で、再び同じ街で同業種・同職種に転職するのは難しいケースが生じるでしょう。また、就職後に仕事で困ったときに職務内容について相談できる社内の先輩や社外のハイスペック人材を探すのも難しいでしょう。

これらの状況から、万が一再び転職を目指す場合には東京に戻ったり、別の地方都市も含めて転職活動をしたりする必要が生じるでしょう。また、仕事のアドバイスを出してくれる同僚や先輩については、オンラインで見つけられる場合もあります。

自動車文化

地方では、日常的な移動に自動車を使用することが多いです。出退勤のほかに、顧客先への訪問やプライベートの用事などの移動がすべて車での移動になるため、自動車の運転が苦手な方にとってはややストレスが感じられるかもしれません。

普段の生活において徒歩や自転車中心でも生活できる立地に住居を探したり、移動の少ない仕事を選んだりすることで、ストレスがかかる機会を最小限に抑えることは可能ですが、自動車がなければ生活の質が低下する可能性は高いでしょう。

賃貸物件の少なさ

地方では、通勤に便利な位置に賃貸物件が存在しないケースもあります。あるいは、通勤に便利でもスーパーマーケット・コンビニエンスストア・病院・学校など生活のために欠かせない施設へのアクセスが悪いこともあるでしょう。

都市部のように賃貸物件が充実しているわけではないため、転職活動の選考が進んだ段階で居住地についても少しずつ目星をつけるように意識するとよいでしょう。

地方で働くメリットが大きいケース

さまざまな働き方や価値観が存在するなかで、地方で働くことにより多くのメリットを実感できるタイプの方も存在します。この章では、地方で働くことにより多くのメリットを得られる可能性が高い4つのタイプについて紹介します。

資格や職歴がある

ビジネスに直接生かせる資格や職歴をもつ方は、好待遇で転職をできる可能性が高まります。特に、イノベーションにつながる高度な技術・ITやAIに関連する技術・希少性の高い資格など、実利につながる資格は全国や海外の市場をターゲットにして仕事ができるため、東京での転職市場相場と同程度の条件で転職できる可能性が高まります。

また、これらの高度なスキルを持つ人材については、国や自治体から採用企業に対して補助金が給付されることもあるため、転職のしやすさという点でも有利です。

地元の人間関係を活かしたい

すでに地元に人脈を築いている方の場合、地方でのビジネスをスタートしやすいでしょう。例えば、地方でビジネスをはじめた知人から誘いを受けているケースや、親族が地方でビジネスをしている関係で地域のビジネス上の習慣やビジネスにおけるキーパーソンが簡単にキャッチできる場合などです。

これらのメリットがある場合は、ご自身の優位性にもつながります。例えば、同じ技能をもった人材に対しても、地の利で勝るため、地方での転職や仕事のやりやすさにおいて優位性を発揮できるでしょう。

介護や子育てなどのプライベートの事情がある

介護や子育てなどのプライベートにウェイトを置く場合、親族や身内がいる地域や落ち着いた環境で過ごせる地域に過ごすという選択肢をとることもあります。

これらの家庭の事情で転職をする場合は、ご自身の職歴や資格にマッチした職種をいかにうまく見つけられるかが大きなポイントになります。そのために、過去のキャリアを振り返って、地方でどのような働き方ができるのかをチェックしてみましょう。

リモート中心で仕事が完結できる

Web関係の仕事や研究職などは、リモート中心で仕事を完遂できることもあります。この場合、必ずしも通勤に便利な位置に住居を構える必要はありません。むしろ、ご自身にとって暮らしやすい場所を優先して立地を決定できます。

住居の選択の自由度が高まるからこそ、賃料の安さ・自然環境・補助金制度など重視する項目の整った場所を居住地として選択できます。

地方で働くには転職エージェントの利用がおすすめ

地方で働くことは、東京での働き方とは異なる点が多数あります。メリットはそれぞれありますが、コロナ禍や働き方改革をきっかけとする働き方の多様化により、近年では地方で働くことのメリットがより大きくなっています。

しかしながら、地方ではポジションが限られているのも事実です。そこで、大切になるの地方での求人案件を幅広くキャッチし、効率よく転職活動を進められる転職エージェントを利用することです。
ヒューレックスは、地方のU・Iターン転職に強みを持つ転職エージェントです。独自の求人案件が多数あるので、地方で働きたいとご検討中の方はぜひご相談ください。ヒューレックスの転職相談は、無料で対応しています。

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この記事の監修

須賀川 敏哉

神奈川県出身。早稲田大学卒業後、大手証券会社に入社。人材業界では、通算20年以上のキャリア。10年間の証券営業を通じ、経済や景気動向、企業動向の見方を養う。 大手総合人材サービス会社では、首都圏拠点立ち上げ、新宿・丸の内支店長、金融・外資部長、東京本社エリアディレクターを歴任。 ヒューレックスでは、転職支援を中心に、コンサルタントとして幅広い職種と年齢層に対応。

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