目次
30代男性は転職市場で人気が高い?
かつての終身雇用制度はすでに崩壊しており、現在は30代男性が転職することも珍しくない時代になりました。
しかしながら、30代男性の転職市場での価値が企業からどのように評価されているのかイメージがわかない方は少なくないことでしょう。
この章では、30代男性の転職市場での立ち位置について解説します。
30代前半は転職成功者が多い
画像引用元:厚生労働省「令和3年上半期雇用動向調査結果の概況 ―」
転職サービス大手dodaの資料によると、近年の転職成功者の平均年齢は30歳を超えています。
また、転職成功者を年代別に分類すると、30代の転職者は約35%程度を占めています。。
20代登録者がボリューム層のdodaのアンケート調査においても35%程度の割合を占めているという事実からも、転職市場において30代は活発な年齢層であると言えるでしょう。
なお、厚生労働省が発表している「― 令和3年上半期雇用動向調査結果の概況 ― 」において年代別の転職入職者率を比較すると以下の表のようになります。
男性 | 女性 | |
25~29歳 | 6.6 | 8.0 |
30~34歳 | 5.3 | 6.5 |
35~39歳 | 3.9 | 5.8 |
40~44歳 | 3.5 | 4.5 |
転職入職者率とは、常用労働者における転職者の割合を指します。高ければ高いほど、該当の年代における転職者の割合が多いことを意味しており、こちらのデータからも30代の転職市場が20代に次いで活発であることが確認できます。
画像引用元:doda「【転職成功者の平均年齢調査】転職するなら何歳まで?年代別ポイントは?」
さらにdodaの統計において30代の転職成功者を職種別にセグメントをした場合、以下の職種で高い割合を示しています。
- 専門職系:42.8%
- クリエイティブ系:41.9%
- 企画・管理系:40.9%
- 技術系(電気・機械):39.9%
- 技術系(医療・化学):38.8%
さらに、営業系でも33.7%と30%を超える割合を示しています。
全体的に、高度な技術や知識、マネジメント能力などが求められる場面では、30代の転職者が転職市場でのニーズが高いと言えます。
その顕著な例は、専門職です。専門職の転職成功者割合に関しては、20代の数値を9.7ポイントも上回っています。
転職が難しくなる要因もある
30代男性の転職が珍しいとはいえ、20代と比較すると採用選考時に厳しくチェックされる項目もあります。この章では、30代転職での転職を難しくさせる要因を解説します。
スキル・資格がない
30代では、ポテンシャルよりも実績とスキルが重視されます。むしろ、ポテンシャルで評価されることはほとんどありません。
従って、転職先の企業に直接活かせるスキルや資格を持っていない方は、転職市場では苦戦を強いられます。このとき、年代や業界によって要求されるレベル感は異なります。
人気職種の場合は、30代前半であっても高難度の資格取得や営業面での定量的な実績など、明確な成果がなければ採用を勝ち取るのが難しくなります。一方、人手不足の業界では関連職種の実務経験があれば、スキル不足を問題視される可能性は低いでしょう。
キャリアの分岐点の30代だからこそ、採用企業が求めているレベルを見極めることも重要です。
マネジメント経験がない
30代では、実務スキルや経験と合わせてマネジメントスキルが要求されます。30代の採用は、将来の管理職・幹部を見越した採用となるケースも多く、採用直後にプレーイングマネージャーとしての活躍を期待されることも珍しくありません。
だからこそ、マネジメント経験がないことは減点材料になります。マネジメントスキルをはかるための最も確実な指標は、マネジメント経験の有無だからです。
大卒でない
中途採用において「学歴不問」をうたっている企業も多数ありますが、大卒資格の肩書きを持たない方は応募できる企業の選択肢が狭まることは間違いありません。書類選考の段階で、「大学卒業以上」という基準を設けている企業も多々あります。
また、金融業界やコンサルティング業界の専門職など、学歴が重視される職種もあります。
大卒だからといって転職が有利になるということは基本的にありませんが、大卒資格がないと不利になるというケースはあることは理解しておきましょう。大卒資格のない方は、なおさらスキルや実績などでご自身の価値を高める必要があります。
30代男性の転職のきっかけと成功のためのポイント
多くの男性が30代に転職を希望します。
20代で特に不満を持たずに会社に勤めていた方であっても、30代になって条件面や仕事内容に関して気になる点が出てくることがあるためです。
この章では、以下の4点の転職のきっかけと成功のためのポイントを解説します。
- 給与の不満
- 休日や勤務時間などの条件の不満
- 将来への不安
- 仕事内容の希望
給与に不満がある
30代は、さまざまな条件により年収に差が生じます。
- 勤務先企業の給与体系
- 技術やスキル
- 成果
- 企業への貢献度合い
例えば、勤務先企業の給与水準が業界水準よりも低かったり、企業の競争力が低く売上が伸びていなかったりする場合は、市場価値に見合った給与が得られない可能性が高いです。
このような状況を解決する為には、市場価値に見合った給与体系が整えられていたり、利益の還元を十分に受けられたりする企業への転職が効果的です。そのためには、業界の動向や、既存社員の給与のモデルケースを調べる方法があります。
条件に不満がある
30代男性は、結婚して家庭を持つ方も多く、20代の時ほどプライベートよりも仕事を常に優先するのが難しいという方もいます。そのため、条件についても不満が生じやすいポイントです。
具体的には、転職につながりやすい条件の不満は、以下です。
- 残業が多い・休日が少ない
- 福利厚生が整っていない
転職によってこれらの課題を解決するには、求人情報および企業のホームページの平均残業時間や有給休暇取得率、福利厚生情報を詳しく確認することが重要です。また、実際に働いている社員の方や企業の実情に詳しい方に話を聞く機会があれば、実情を確認できます。
自分自身のライフスタイルや状況と照らし合わせて、できる限り精度の高い情報を確認しましょう。
将来性に不安がある
元々勤務している企業の競争力が低かったり、業界自体が衰退していたりするなどの理由から、将来への不安が大きくなる方もいます。
結婚や子育てなどの家族環境の変化やマイホームの購入など、家族環境が変化することによって、20代の頃よりも将来の安定性を重視する方が多くなるためです。
しかしながら、グローバル化やIT化の進んでいる昨今では、企業や業界の見通しを考えるのは簡単なことではありません。だからこそ、将来性を見極めるのは非常に難しいといえます。
効果的な対策の一つは、志望する企業や業界について詳しい情報を持っている第三者に直接話を聞く方法です。新聞や資料などに目を通すことも重要ですが、在職中のスタッフや直接取引のある関係者からの情報はよりリアリティがあります。
不安を払拭するためにも、可能な限り幅広く深い情報を得ることが重要です。
他にやりたい仕事がある
各種アンケート調査にて30代男性の転職理由の上位にいつも挙げられるのは、「他にやりたい仕事がある」です。「やりたい仕事」は、大きく分類すると「キャリアアップ」と「キャリアチェンジ」が考えられます。
現職でキャリアアップを目指す方にとって、社内の人員体制によってはスキルを習得してキャリアを重ねても希望するポジションを得られる可能性が低いケースもあります。
また、キャリアチェンジに関しては、年代が上になればなるほど、キャリアチェンジの難易度は上がります。30代後半になると、未経験の職種に就くのはかなり困難であるのが現状です。
だからこそ、30代の内にキャリアアップ実現見込みの高い企業や異業種企業に就職したいという思いが大きくなる方が多いです。
ただし、やりたい仕事に就くためにも転職前のキャリア・スキルが非常に重要な意味を持ちます。30代で全く未経験の業種に転職するのは簡単ではなく、スキルや経験の関連性を生かしながら、転職先を探す姿勢が求められます。
30代男性が転職を有利に進めるためにやるべきこと
30代男性が転職を有利に進めるためには、やるべきことがあります。
キャリアにおける大きな転換期である30代では、やるべきポイントを押さえるか否かによってその後のキャリアにも大きな影響が及ぶ可能性があります。
この章で解説するポイントは、以下の点です。
- 転職における優先順位の決定
- スキル・経験の棚卸しと言語化
- 応募企業の情報収集
- 転職のタイミングの見極め
- キャリアプランの決定
転職における優先順位の決定
30代男性に限ったことではありませんが、どんなポイントを優先するのかによって理想の転職先は変わります。全ての希望条件を満たす条件で転職できればベストですが、極めて困難です。
- 収入
- 仕事内容
- 勤務地や休日の日数などの条件
- 会社のビジョンや方向性への共感
- 社風や人間関係
上記の5項目のなかで、絶対に譲れない条件と望ましい条件を設定しましょう。会社のビジョンや方向性に関してはホームページなどの公開されている情報から知ることが難しいため、選考の過程で人事の方などに質問して確認する必要があります。
スキル・経験の棚卸しと言語化
30代の転職では、スキルや経験が重視されます。そして、選考においてはこれらを企業の人事担当者に明確に伝える必要があります。優れたスキルや実績があってもうまく伝えられなければ、選考時に評価されることはありません。
スキルの棚卸し、言語化において重要なポイントは、以下の点です。
- 保有しているスキルや実績を全て書き出す
- できる限り数値化して具体性を持たせる
- 応募する企業の職務において関連性の強い経験やスキルを重点に置く
企業の人事担当者が、「この人材を採用したら、貢献してくれるに違いない」と思えるような情報を明確に伝えることが重要です。
応募企業の情報収集
企業や業界に関する情報収集の精度が明暗を分けることもあります。
- 応募する企業や業界は中長期的に成長し続けられる可能性が高いか否か?
- 企業側がどのような人材を欲しているのか?
- 企業の社風はどのような雰囲気か?
- 企業は、競合他社に対してどのような優位性を持っているか?
これらの項目について粒度の高い情報を得ることにより、入社後のギャップを最小限に抑えられます。さらに、希望の収入を得るためにも企業の将来性を判断することは非常に重要です。
30代男性の場合、見極めが大きく外れると40代以降に改めてキャリアについて考え直さなくてはならない状況に陥る可能性があり、大きなリスクを伴います。
そこで、利用をおすすめしたいのが、転職エージェントの活用です。
企業と密接な関係性を築いている転職エージェントを利用すれば、企業のホームページや求人上場に掲載されていない情報や社内の実際の雰囲気などを知ることができます。
粒度の高い情報を得ることは、選考を有利に進めるためにも入社後のギャップを小さくするためにも有効です。
転職のタイミングの見極め
一般的に、年齢が上がれば上がるほど転職時に求められる要件は厳しくなり、難易度が高まります。だからこそ、「1日でも早く転職を成功させたい」と、気持ちに焦りが生まれがちです。
しかし、転職に関してはタイミングの見極めも重要です。
景況感や時期的な問題により、転職に有利な時期と不利な時期があるためです。一般的に求人数が増えて転職市場が活発化するのは、2~3月と8~9月です。この時期には各企業で退職者が増加し、転職市場が活性化する傾向がみられます。ただし、退職者も増えるため競争が激化しやすいという傾向もあります。
また、希望する業界や企業が人材を募集していない時に積極的に活動をしても、転職の目的を果たすことはできません。
30代転職では、20代転職と比較すると転職活動の期間が長期化する傾向が見られます。特に、30代後半になると転職がスムーズに決まらないケースも増えます。だからこそ、転職成功のチャンスのタイミングを捉え、行動する必要があります。
キャリアパス・キャリアプランの決定
30代はキャリアのターニングポイントになる可能性が高いからこそ、その後のキャリアパスを明確にイメージすることも重要です。
ご自身がどんなフィールドでどのようなスキルを磨くかによって、その後のご自身の市場価値に大きく影響する可能性があります。また、キャリアプランが明確であればあるほど、当初のプランから外れたときの軌道修正は容易です。
5年後・10年後と、ご自身のキャリアをどのように描いていくのかを明確にイメージすることが重要です。
30代男性にオススメの転職方法
転職時において、ご自身がしっかりと準備を進めていても、採用企業とマッチングしなければ転職の成功はありません。だからこそ、転職の方法や媒体についてもご自身の状況に合ったものを選ぶ必要があります。
この章では、30代男性にオススメの転職方法として、以下を紹介します。
- 転職エージェント
- 総合転職サイト
- ダイレクトリクルーティング
転職エージェント
転職エージェントとは、キャリアコンサルタントから企業の紹介・転職相談・企業との連絡や交渉の代行などのサポートを受けられるサービスです。求職者は基本的に無料で利用できます。
30代男性が転職エージェントを利用すると、以下のメリットを受けられます。
- 転職の成功率を高めるキャリアの棚卸しや職務経歴書の書き方などのサポートを受けられる
- 転職市場には一般公開されていない非公開求人の紹介を受けられる
- 企業の社風・現状・業界の将来性などの外部からは確認できない情報を確認できる
転職エージェントの利用は、以下に該当する方に特におすすめです。
- 現職が忙しいため効率の良い転職活動をしたい方
- 転職のノウハウや採用企業の情報を詳しく知りたい方
- 希望の求人を見つけられない方
- 自分だけでは転職ができるかどうか不安な方
ただし、取扱求人の質や案件数、担当のキャリアコンサルタントのサポート力などは転職エージェントごとに異なります。ご自身の希望に合った転職エージェントを選ぶことが重要です。
総合転職サイト
総合転職サイトは、30代男性においては以下のメリットがあります。
- トータルでの求人数が多く、あらゆる職種や業種の求人情報を確認できる
- 多くの企業の情報を比較検討しやすく、業界や企業の動向をつかみやすい
総合転職サイトとは、どのような求人情報があるのかを幅広く知りたい方におすすめです。
ただし、総合転職サイトは20代から30代前半のプレーヤー層の求人が多いことも事実です。さらに、情報を閲覧する際にご自身で情報をセグメントしなくてはならないため、非効率な場合もあります。
希望する求人とマッチングするチャンスを増やすためにも、効率的に転職活動を続けるためにも、転職サイトの選び方が重要です。
例えば、スキルに自信のある方は、30代以上のミドル向けをターゲットにした転職サイトやハイエンド向けの転職サイトを利用することで希望の条件を満たせる可能性が高まります。あるいは、業界特化型・職種特化型の転職サイトを利用するのも良いでしょう。
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングとは、求職者に対して企業側からアプローチを行う手法のことです。代表的なものとしては、人材バンクやSNSを利用したスカウトサービスやヘッドハンティングなどがあります。
ダイレクトリクルーティングは、以下に該当する方におすすめです。
- キャリアを直接活かした転職を成功させたい方
- キャリアアップを目指している方
ダイレクトリクルーティングにて転職をするには、あらかじめスキルや職歴などのプロフィールをあらかじめ丁寧に作成し、公開する必要があります。その後、プロフィールを閲覧した企業の人事担当者やヘッドハンターからスカウトが届くという流れです。
企業の人事担当者が魅力に感じるほどのスキルや実績は必要ですが、ダイレクトリクルーティングでは好条件での転職を成功させられる可能性が高いです。また、ダイレクトリクルーティングはプロフィール登録後に企業やエージェントからのスカウトを待つ姿勢での転職手法であり、長期的にじっくりと転職活動をしたい方に適しています。
30代男性の転職にはヒューレックスがオススメ
男性にとって30代はキャリアの転換期になり得るポイントです。
30代の転職の成否は、その後のキャリアに影響する可能性が大きいため、慎重に検討をする必要があります。そして、タイミングを見極めて迅速に動くことも重要です。
そこで重要な点は、ご自身にとって最適な方法で転職活動を進めることです。
転職の際に最も重要なポイントの一つである転職方法については、転職エージェントの活用がおすすめです。中でも当社ヒューレックスは以下特徴を持つ転職エージェントです。
- 経験豊富なキャリアコンサルタントが親身になって転職をサポート
- ミドル人材・幹部候補を含む非公開求人が多数
- 企業との結びつきが強く、他では入手できない転職市場・企業情報を得られる
希望の転職を実現するためにも、その後のキャリアパスを理想的なものとするためにも、ぜひお気軽にヒューレックスにご相談ください。
この記事の監修
須賀川 敏哉
神奈川県出身。早稲田大学卒業後、大手証券会社に入社。人材業界では、通算20年以上のキャリア。10年間の証券営業を通じ、経済や景気動向、企業動向の見方を養う。 大手総合人材サービス会社では、首都圏拠点立ち上げ、新宿・丸の内支店長、金融・外資部長、東京本社エリアディレクターを歴任。 ヒューレックスでは、転職支援を中心に、コンサルタントとして幅広い職種と年齢層に対応。
コンサルタント詳細を見る